BLEACH 短編
□初めての恋は
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私、恋をしました。
『はぁ....今日も話しかけられなかった....』
放課後、誰もいない教室で溜息をこぼす。
高校にもなって初恋ってとか思わないでほしい。
そういう環境がなかったんだから。
三年間、あの人とまともに会話したことは一度もない。
なんていうか、話しかけづらい。
いつも周りに人がいるし。
ずっと同じクラスなのに、なんかもったいなことしてるな〜.....。
一年生時はなぜかほとんど来なかったし...。(井上さん、石田さん、茶渡さんも)
冬休みを終え、始業式の日に久々に顔を見たぐらいだ。
....そう、私が好きなのは黒崎一護さんだ。
久々に見た黒崎さんは大きくなっていて、どこか寂しげだった。
そして、その表情を見ていられなくて思わずあの時
『げ、元気だしてくださいっ....!!!』
そう言い逃げした記憶がある。
あの時の私は究極にバカだ。
『黒崎さん.....』
一「なんだ？」
『........あれ、幻聴??』
一「勝手に幻にすんな」
後ろを振り返れば、黒崎さんが立っていた。
え、あれ、どうしているんだろう???
『あの、どうして黒崎さんが....』
一「あぁ、忘れ物」
『あ、なるほど.....』
というか、私.....。
普通に話せてる???まともに会話できないものだとばかり思っていたからだろうけど....。
一「こんな時間まで何やってんだ???」
『あ、えっと、ボーッと....』
一「平原らしいな。」
『へ!?』
一「な、なんだよ」
『あ、いえ、私のこと知ってたんだなと思いまして.....』
一「知ってるに決まってんだろ。ずっと見てたし.....あ。」
ずっと見てた。
あれのせいで変な奴だと思って見てたんですかね。
....でも、嬉しいな〜....。少しでも視界に入ってたなんて....。
そんな時
織「黒崎くーん、見つかった??」
一「おーあったあった。」
織「じゃ、早く行こっ!!」
一「あぁ。....じゃあな平原」
さよならと、言う前に去ってしまった。
.....井上さんは彼女さんなのかな???
もし、そうなら私失恋決定だな〜。
たとえそうでなくても、井上さんは黒崎さんのこと好きそうだし。
どのみち無理だね。
『お似合い、だよね....』
ポタ、と机の上に雫が落ちる。
『あれ、なんで私泣いてるの...??』
元々わかっていたはずだった。
想いが叶うはずなんてないって。
....だけど名前を呼ばれた瞬間弾けてしまった。
もっと話したい、触れたい、名前を呼ばれたい。
こんなに強欲だったなんて知らなかった、知りたくもなかった。
涙を拭いても拭いても、溢れ出す。
『くろっ、さきさん....!!』
一「....なんだ？」
『!!!』
さっきと同じ、状況。
一つ違うのは私が泣いているということだけ。
同じように振り返れば、黒崎さんは悲しげに私を見つめる。
....もう、戻ることなんてできないんだ。
『ど、して....』
一「もうおせぇし、送っていこうと思って戻ってきた。そしたら泣いてるし」
『あ.....ごめんなさいっ、すぐ拭きますからっ!!!』
ゴシゴシと拭ってもやっぱりこぼれてくる涙。
すると、手首を掴まれて
一「....なんで、泣いてるんだ??なんで、俺の名前呼んだんだ??」
『そ、れは.....』
言えるわけないのに、質問してくる。
言ってしまったら、本当に戻れなくなる。
そう心ではわかっているのに口は勝手に動く。
『........黒崎さんが、好きだから......。好きだから泣いて、呼んだんです。』
もう、後にはひけない。
一「....なんだ、俺のために泣いてたのかよ」
『へ.......??』
一「俺もお前が好きだ」
『え、あの、え???』
一「だから、好きなんだって」
『え....だって黒崎さんは井上さんと....』
一「なんでそこで井上が出てくんだよ??」
井上さんじゃなく、私を選んでくれた。
私を好きだと。
どうしよ、嬉しすぎてせっかく引っ込んだ涙が出てくる。
一「.....嬉し泣き、だよな？」
『はい...!!』
ふっと笑った黒崎さんの顔が近づいて唇に柔らかい感触が広がった。
私の初めての恋は叶いました。
END
―――
あとがき
初恋は叶わないっていいますけどねｗ