援護射撃

□"相棒"
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「なんじゃい、この球…
大口叩いた割には並以下やないかい!



こんなもん、目ェつぶっても軽く場外じゃー!」




「はははっ、だったら手加減します?


なんせ、相手は中学生ですから?」



「アホォ!
俺はいつでもフルスイングじゃ!」




「あっはは
俺、東さんのそーゆートコは好きッスよ!」








『そんじゃ、俺は審判やるッスねー』





「公平に審判しろよ、葉月!」




『分かってますよ
勝負事に嘘は付きたくないんでね?』




「ならいい」






まぁ、俺がやりたいのは審判じゃなくて
栄ちゃんの球を正面から見たいって思っちゃっただけなんだけど。






栄ちゃんは深呼吸し、気合を入れた。




「クソガキが!
何マジ顔になっとんじゃ!


その顔一発で変えちゃるきに、はよ投げーや!!」






「…っ」






東さんの一言で栄ちゃんの顔に緊張が走っていた。










一也がまず最初に構えた場所は…














栄ちゃんが振りかぶり投げた。
栄ちゃんの投げた球は、軌道を変え地面に叩きつけられた。






「っとぉ」



一也は球を止めた。





「ワハハハッ!!
なんじゃおい!
ビビって手が振れとらんやないかい!


投げるンが怖いんやったら、正直に言えや!







いや、違う
あれは無理矢理軌道を変えた…。




きっと栄ちゃんは分かったんだ
東さんに打たれると、





「すいません、ちょっとタイム」




「あ?
打ち合わせなら、先にしとけや!!」






一也は栄ちゃんの方へ行った。




一也もきっと分かったんだろうなー









…何か腹かかえて笑ってるし
俺も…聞きたい






あー…あとで聞こうっと。





栄ちゃんと一也の会話
















「お前…今ワザと地面に叩きつけたろ?


どうしてだ」





「…あのコースは打たれる気がした…」






「ハッハハ!なるほど!!
打たれるぐれェならボール球を投げるか!」




「な、なんだよ…悪いかよ!?」





「お前…正解!
実はあのコース東さんの一番得意なコースでした(はぁ―と)


いやーお前、硬くなってたからさー…
豪快に散れば少しは硬さがとれるかと思って…

あそこに投げてたら、間違いなく打たれてたよ!


プッププ」




「はァ!?」




「ゴメンリンコ(はぁと)



気に入ったよお前!
これからは二人で
あの怪物を退治しようぜ!」




「信用できるかぁー!!!!

アンタ、あのオッサンの回しもんだろ!!」




「あははは、お前バカ?

人の好意は素直に受けておくもんだよ」



「うっせ!さわんな!!」




「で、お前球種は何があんの?」



「あ!?んもんねェ!!
俺はいつでもストレート一本だ!!」





「…マジで?


わっははは!おもしれェー!!
こりゃあ相当リードしがいのある投手だな!」




「テ、テメェ!
絶対俺の事バカにしてんだろ!!!」



「いやいやいや俺のツボ!
ちぃ君が好きだっていう理由が分かるかも



そんじゃ、リードは俺に任せておけ!
あの人のくせは全部知ってっからよ!」



「つーか、アンタは関係ねーだろ!
これは俺とオッサンとの勝負なんだよ!!」




「あれ?
そーゆーこと言う?

じゃあ、お前一人で野球やるつもりか?



今までお前がどんな野球やってきたのか、
知らねェーけどよ


最高のピッチングっていうやつは、
投手と捕手が一体となって作り上げる作品だろ?」




「作品?」



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