雲外蒼天

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合宿の翌日
そう、GW最後の日


俺たちに休みなんてない。



俺の家からグラウンドまでチャリで2,3分。
余裕を持っていけば、まだ誰も来ていない。





『あれ…今日は早く来すぎたか?』





「おはよー瑛君!」




『はよっす、モモカン!
今日の集合っていつもより遅かったですか?』




「え、うん
瑛君にも伝えた筈なんだけどな…」





『じゃあ、俺が早く来すぎたんですね…
他の奴らが来る前にマネジの仕事やってきます!』




「了解!」










俺が早く来すぎたせいだったのか…
一人でいるのも落ち着いていいかもな





昨日の夜は、永遠とメールしていた。
相手はもちろん裕行と修吾。



裕行っていうのは、三星の織田。




メールの時、名前で呼んでくれって頼まれて
それからお互いとも名前呼びに。





まぁ、そんなこと考えながら仕事して
次々と部員たちがきた。




「おっす瑛」



「ちわーっす」






『はよ、泉、巣山』




「瑛って、来るの早くね?」




『あぁー集合時間よりも早く来ちまったみたい』




「そういえば、瑛って
家が近いんだよな?」




『そうだよ
すぐそこで、俺ん家の隣が悠の家』





「じゃあ、おとなりさん?」




『だよ、つか幼馴染だな
悠とは生まれた時から一緒みたいな感じ』





「へェーすげェな」




そのあとも巣山や泉と話していると、
次々に来た。






「おはよー!
さあ今日から練習前に瞑想するよ!」





シガポの声にみんな頭に?がついた。




いきなり瞑想ってなんだ?




「めい、そお?」


花井がぽかんとした様子でそう呟く。





「そう!
瞑想っていうととらえどころがないけど、
要するに5つある脳波の1つα波を出そうっていうことだ」




「α波?」





「分かる奴はいるか?」





『俺、少しならわかります!!』




「え、あきマジ!?」




『おう。合宿が終わってからちょっと勉強してみた。

頭から生じる電気活動の周波数を大きく分けた
γ(ガンマ)・β(ベータ)・α(アルファ)・θ(シータ)・δ(デルタ)のうちの一つッスよね?』





「そう!そこまで知っているなんてすごいな
関心するよ」




『シガポの話面白くてさ』




「これからが楽しみだな。

さてこのα波、
どんな時に出てると思う?」





「え?
部屋でくつろいでる時?」




「好きな曲聴いてる時とか…」



「リラックスっぽいカンジ…?」




「うんうん」




みんなで出し合っているとき、千代がボールを運んでいた。






『千代!わりィ、俺も手伝う!!』





「これくらい大丈夫だよ!」




『でも…悪いから俺が!』




「うん…ありがとう瑛君」




ボールの入ったカゴを受け取ろうとしたとき…





「…!!!!
篠岡動くな!!足元にヘビ!!!」





キャーーーーーー!!!!







『千代!?』





千代はシガポの"ヘビ"という言葉に驚き、カゴをひっくり返し叫んだ。





そしてその姿に指をさし




「今、篠岡からすっごいα波が出ている」



「「「は??」」」





「せ、先生…ヘビは?」





「あ、ウソウソ」



「え、いないんですか?」





「うん、うそだから」




「は、はぁー…」





『千代、大丈夫か?』




シガポの嘘発言で力が抜け倒れそうになったから
抱きとめた。






「あ、ありがとう…/」





そして、また指をさしながら




「もう出てない」




「なにそれ!」
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