雲外蒼天

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次の日。





今日も思いっきり練習が出来た。
阿部と三橋は別メニューで。






夜、食休みが終わりモモカンがパネルを持ってきた。




「見て!
これは、周辺視野と瞬間視を磨くためのパネルよ!


今日は、瞬間視をやってみましょう!」





パネルには5×5の升目に25の数字が描かれている。
その数字を順番通りに声に出しながら
指でさすというの物。





「さぁ、誰からやってみる?」





「はぁーい!!!俺やる!!!」



「よし、田島君行くわよ!!
志賀先生、タイムをお願いしますね」




「はい!」






「よーい、スタート!」






「1,2,3,4,5,6,7,8…22,23,24,25!!!」








「せ、先生タイムは…」




「7秒9です…」





「えっへん!」




悠はかなり早かった。







「適当に数字言ってただけじゃねェの?」




「な、ちゃんと見てただろ!!!」




「「「………」」」






「えェー!!!」







悠の後ろから見ていた花井達は疑っていた。





「はい、パネルは5枚あるから
2人で1枚ね!

3回やって、ベストタイムを覚えていてね!
明日の打順はタイムの早い子から決めて行くわよー」





みんな大急ぎで、瞬間視を始めた。







花井は、18秒という結果で
悠が早い事に吃驚した。









三橋と阿部の方に目をやると、三橋は泣いていた。






「明日の練習試合では、全力投球しないで
俺のサイン通りに投げろよ



じゃないと、ホントに負けるぞ」






と、言い残し阿部は花井達の方へ行った。





このままの三橋を放置はできないから、三橋の方へ行ってみることにした。





『三橋、何で泣いてんの?
阿部となんか揉めたのか…』




「ち、ちがうんだ…
俺が、阿部君に…何も言えないから…っ
阿部君は、心配してくれたのに…心配掛けたくなくて、
嘘を言ったら、阿部君が怒っちゃって…俺、阿部君に嫌われたら
サインだして、貰えなくなる…そしたら…俺は、ひっく、うっぐ、


そ、それに、」





『それに?』




「お、おれが何を言っても、呆れられそうで…」




『それで、本音とか全部隠すのか?』




「…う、ん…」





『俺には、言えてんじゃん』





「あき、瑛くんは、その…俺の事、好きだって、言ってくれて
優しくて、嘘付けなくて…っ」





『俺だけじゃなくてさ、阿部も優しいよ。
そりゃ、雰囲気が怖いみたいに思うかもしれないけど
ちゃんと、三橋を心配してくれたんだろ?



だったら、阿部の気持ちにも答えてやろうよ
一方通行の想いってさ、辛いと思うよ?』





「一方通行…、阿部君の気持ち…」









それから三橋は、少し元気になった。
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