雲外蒼天

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それぞれのノックが終わって、いよいよ西浦と桐青の試合が始まる。

桐青の選手がノックに使ったバットやボールケースを片す中、
先攻である西浦の1番バッター孝介がバットを手にベンチから立ち上がった。





「泉ー!先頭出ろよー!」



「肩の力抜いていけーっ」



「打って来ーい!」



「おー」




『狙っていけよ、孝介!』




「…お、」






無視はされなかったが、目を合わせてくれない…
やっぱりに昨日のこと、まだ怒ってんだろうな…




気まずいまま試合が始まるのは嫌だけど、
どうして孝介が怒ったのかわかんねェとどうにもならねェ







バッターバックスに立ち、アナウンスが流れた。





《――…1番、センター、泉くん 背番号 8》




「しぁーす!」




「プレイボール!」










打席に立つ孝介は、バントに構える。



1球目、2球目と連続してボールが続く……
そして…3球目






準さんがカウントを稼ぎたい時に投げるのは














スライダー






キーーーンと、高い音が響いた。





そして、孝介の打った球は





「「「抜けた!!!!」」」








「せーのぉ!!!!」





浜田の声が響き、トランペットとドラム音とスタンドの声が盛大に沸き上がった







「…すっ、すごいっ…」



「うっわ、」



『やっぱ迫力あるな!』






横に立っていた梓も尚治もスタンドに圧倒されて
小さく声を漏らした。




一塁に進んだ孝介は得意気に笑ってて、文貴と何か話していた。


きっとどんな球だったのかを聞いているんだろうな


《――…2番、セカンド、栄口くん 背番号4》


「しあす!」








そうこうしてる間に勇人がバッターボックスに入って
孝介と同じ1、2球目と同じようにバントの構えを取る。




――…コツンッ…


3球目がストレートで綺麗にバントが決まった。







これで、ワンナウトランナー二塁
1、2番が綺麗に嵌まり、3番尚治もバントが成功し
ツーアウトランナー三塁




この間に、準さんは牽制をミスしていた。
…調子が悪いのか?
それとも……準さん、緊張してるとか、?






<――…4番、サード、田島くん 背番号 5>








この場面で回ってきたのは、悠だ。






『悠一郎ーっ!!振っていけよ!!』




「おぉーっ!!」
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