短編

□Love you
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ずっとあなたを愛してるとか―





「…らふ! オラフ!」

「っえ、な、なんですか?」

「いや、なんですかじゃないよ、ずっと呼んでたのに」

「あっすいません、ぼーっとしてました」

「どうしたの? 最近そういうの多いけど、なんかあった?」

「あー、いや、なんにもないですよ」

「そう?ならいいけど」


今日はフルマリオンで歌番組の収録。

このユニットが組まれてから、なおさんといる時間が前と比べて圧倒的に増えた。

だから前よりもっと仲良くなって、いっぱいいちゃいちゃするようになった。

彼女に好意を寄せてるりおんからすれば、今の状況はすごく嬉しい。


でも、でも、問題がある。


それは、なおさんが全く振り向いてくれないってこと。

どんなにアピールしても、わざとなのか天然なのかは分かんないけど、全部きれいにスルー。

どうしたらこの気持ちを分かってもらえるのか、気づいてもらうなにかいい方法はないのか…。

最近はいつでも、どこでもこのことを考えていた。


そして、結局出た結論は…







よし!本人に直接聞こう!





「なおさん、ちょっといいですか」

「え? どーしたの?」

「実は今、りおんの友達が好きな人のことで悩んでるんです」

「ほー」

「だから、経験豊富ななおさんの意見が聞きたいなーって」

「あーそれは得意分野だわ。どんどんかかってきなさい」


りおんの気持ちにも気づかないなおさんに、他人の恋愛のアドバイスなんてできるんですか?





そう言いそうになったけど、この疑問はひとまずおいておこう。


「好きな相手の子はすごい鈍感で、その子の気持ちに全然気づいてないらしいんです。どうやったら気づいてくれますかね?」

「んーそういう相手にはーやっぱり気づいてもらう前にさっさと行動しちゃうのが大事だね!」

「え、それはどういう…?」

「だからね、もういきなり抱きついて『好きだよ』とか甘い言葉を耳元でそっとつぶやくの。そしたらもう相手はすぐ落ちるから」




うーん…。
この言葉は本当に信じてもいいのだろうか。
ていうか、なおさんは今までにこれをほかの誰かにしたのだろうか。
それはどんな相手だったんだろう。その人とどんな恋愛をしたんだろう。



りおんはまだ全然なおさんのことを知らない。

この事実が何の前触れもなく心に刺さってきて、少し苦しい。





だけど、それよりもアドバイスを聞いて感じたことがある。


それは、今言ってたことをとりあえず



    

   実践





するのが大事ってこと。



「…分かりました、分かりましたよなおさん」

「参考になったならよかった!」

「じゃあ、いきます」

「…え?」


本人からの助言を聞いた今の私に怖いものはありません。

それでは、りおん突撃まで

3、2、1―






「古畑さん東さん、出番なんで準備お願いしまーす」







えっ








「はーい!  じゃあオラフ、いこっか」













―私はまだまだ夢を見続けるとか



end,,,

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