短編

□イチバンニハ
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「りおん」

「…んっ」

「好きだよ」







なんでだろう。


愛してる人の、すぐそばにいるのに。


あなたをずっと見てきたはずなのに。


こんなにも、想いが通わないのは。








「…りおんも、っ、、」

「うん」

「す、き…あぁっ!」










きっとそれは一方通行。

どんなに愛してもあなたからは愛されない。

そんなこと気付いてるけど、頭の悪い女を演じてあげる。

じゃなきゃそばにはいられないから。


こうやって身体を重ねるたびに想いを募らせてるのは、どうやらりおんだけみたい。

でも、これも全部わかってるでしょ?





そんなあなたの心はここにはない。






「大好きだよ」





ほら、今とかさ。



こっちをみて笑ってるけどね。

目が笑ってないんだって。

誰かに作られた人形のように瞳に光がないこと、わかってる?

ここには、あなたの心だけがないことも。

どんなに仮面をつけて偽っていたって、布一枚纏っていない今なら丸わかり。



なんて言ったら、あなたはどんな顔を見せてくれるかな。

りおんの知らない表情が見れるかな。

今つけてる仮面、きれいに剥がれ落ちるかな。





甘い言葉で誘惑してくるけど。

それは全部、ナイフのように心に突き刺さるだけなんだよ。







でも回数を重ねるうち、それもわかってきたからね。


結局今日もこのまま夜に身を委ねるだけ。


今はもうあなただけが好きだから―






















ねぇ、宮前さん。



あなたは私を誰と重ねていますか?











end,,,



(back number : 助演女優症)

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