恋に落ちた海賊王*トワ

□トマラナイオモイ
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ハヤテさん、あゆみさん、僕の三人で買い出しの最中。


あゆみさんと食材を選び、お会計を済ませて振り返ると、ハヤテさんの姿がない事に気が付いた。


「あれ?…ハヤテがいない!」

トワ『ほ、本当だ!』

「また肉に夢中になってるのかな…」

トワ『ありえますね…』


この市場には焼きたての肉が沢山あって。
美味しそうな肉を見つけると、度々足を止めていたハヤテさん。

きっと僕らがお店の人とやり取りをしている最中に、フラッとどこかへ買いに行ってしまったのだろう。


僕らは苦笑いをしながらハヤテさんを探す事になった。



そうして街をさまよっていると、突然ガラの悪い男達に絡まれた。


男1『兄ちゃん、可愛い女連れてんじゃねぇか…俺らに渡してくれよ!』


そう言ってあゆみさんの腕を引っ張る男。


トワ『あゆみさんに触るな!』


僕はその手を払って、あゆみさんを背中に隠した。


ハヤテさんがいない今、僕が何とかするしかない。
…あゆみさんは僕が守るんだ!


男1『いてぇなぁ…大人しく渡せばお前には何もしねぇよ!』


殴りかかってくる男の拳を避け、腕を捻り上げる。


だが…


「離して!」


あゆみさんの声に焦って目を向ければ、別の男に腕を掴まれている彼女の姿。

どうやら後ろに回り込まれたらしい。


トワ(…しまった!)

男2『残念だったな、兄ちゃん。』


するとあゆみさんの腕を掴む男の首元に、剣が光った。


ハヤテ『そいつを離せ!』

トワ『…ハヤテさん!』

「…ハヤテ!?」


男達の後ろから突然現れたハヤテさんは、いとも簡単に男達を追い払った。



ハヤテ『ったく…トワ!あんな雑魚すぐ片付けろよな!』

トワ『うぅ…すみません…』

「ちょっとハヤテ!何でそんな事言うの!トワくんは私を守ってくれたんだよ!?…トワくん、ありがとう!」


そう僕を庇って、お礼まで言ってくれるあゆみさん。


だけどハヤテさんの言ってる事は間違ってない。
見習いとはいえ僕だってシリウスの一員なのに。

結局僕は何も出来なくて、ハヤテさんに助けられて…
非力な自分が情けない。



「それよりハヤテ!どこ行ってたの?探してたんだからね!」

ハヤテ『うっ…わりぃ!旨そうな肉見つけて買ってたらはぐれちまって…』


ハヤテさんとあゆみさんのそんな会話を聞きながら、僕は二人の後ろをトボトボ歩いた。

情けなさに悔しさ、いろんな感情を抱えて…。





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