恋に落ちた海賊王*ハヤテ
□トマラナイオモイ
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ハヤテ『これ位持てねぇなんて、女って本当役に立たねーな!』
「そこまで言わなくてもいいじゃないですか!」
今日はあゆみと二人で買い出し。
ナギ兄は酒の買い出しに行く事になり、量が量だけにトワと行く事になって。
いつもあゆみはナギ兄とだから、二人で出掛ける事なんてほとんどなくて…内心ガッツポーズなんてしちまってたのに。
口を開けばつい意地悪な事ばかり言って、アイツを怒らせちまう。
本当は笑って欲しいのに…ただ、笑顔が見たいだけなのに。
「もういいです!あとは私一人で大丈夫なので、ハヤテさんは先戻ってて下さい!」
怒って一人、スタスタと行ってしまうあゆみ。
ハヤテ『お、おい!…もう勝手にしろ!』
止めたって聞きやしねぇ。
苛ついた俺はついそう言って船に戻ろうとするが…。
ハヤテ(せっかく一緒にいられたのに…何やってんだ俺は!)
やはり謝ってあゆみと一緒に行こう…そう思い直し振り返るが、すでにあゆみの姿はない。
ハヤテ『あーもう!何でこういう時だけ素早いんだよ!』
俺は両手に荷物を抱えながら、あゆみを探した。
ある路地裏を通りかかった時、声が聞こえて思わず見ると、そこには数人の男と…
ハヤテ(あゆみ!?)
男『可愛い顔してんじゃねぇか。俺達の相手してくれよ!』
武器を手に、あゆみに迫る男達の姿が目に入る。
「嫌です!離して!」
あゆみは恐れる様子を見せずにキッと男達を睨みつけ、手を振り払う。
男『その目…気に入らねぇな…』
その強気な態度が気に障ったのか、そう言って男が武器を振り上げた瞬間…
俺は咄嗟に荷物を放り出し、剣を抜いてあゆみの前に飛び込んだ。
キィン!
間一髪、俺の剣が男の武器を受け止める。
「ハヤテさん!?」
ハヤテ『女相手にマジになるとか恥ずかしくねぇのかよ…』
そう言って男達を睨みつけると、その中の一人が焦った素振りを見せる。
男2『あ、兄貴!コイツ、シリウスの…!』
男1『シリウス!?』
ハヤテ『俺の事知ってんのか…だったら話ははえー。斬られたくなかったらとっとと失せろ!』
男達『ひぃっ!』
その場から走って逃げていく男達。
シリウスって聞いただけで逃げるなんて、情けねぇ奴らだな…
俺は呆れながら剣をしまい、あゆみの方を振り返る。
ハヤテ『お前なぁ…俺が見つけなかったらヤバかったろ!一人じゃ何も出来ねぇくせに勝手にウロチョロすんな!』
「…っ…ごめんなさい…!」
あゆみは涙目になりながら震えてる。
強気な態度見せてても本当は怖かったんだな…
つい強い口調で言ってしまった事を後悔して、俺はあゆみの頭を撫でた。
ハヤテ『あゆみ…怪我ねぇか?』
「ハヤテさんが来てくれたから大丈夫です…ありがとう…」
そう言って笑うあゆみ。
助けに来たのが俺じゃなく、ナギ兄だったら…
そしたら怖かったって素直に甘えてくれたのだろうか?
いや、そもそもナギ兄ならあゆみから目を離したりしねぇ。
あんな風に怒らせなければ、俺が目を離さなければ…
いろんな思いがこみ上げてきて。
「!?」
気付けば俺は、あゆみを抱きしめてた。
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