恋に落ちた海賊王*シン
□夢の中でも…
2ページ/3ページ
昨夜のこと―…
夜中にふと目が覚めたあゆみ。
普段は一度寝たら滅多に起きないあゆみだが、暑苦しさからか、珍しく目が覚めた。
静かな船内に何とも言えない不安に襲われ、体を起こしてシンに目をやる。
シンの寝顔なんてそうそう見れるものじゃないと、それだけでも嬉しくて顔が綻ぶ。
シン『…あゆみ…』
やばっ!
寝顔見てたなんて知られたら海の藻屑にされる!
そう思って急いで寝転がり、チラッと様子を伺うが…
シンを見るとまだ寝ている様で、ホッと一息つく。
シン『あゆみ…』
シンはもう一度名前を呼んだかと思うと、優しい笑顔を浮かべた。
「…!」
どんな夢を見ているかはわからない。
だけど大好きな人が名前を呼んで笑ってくれる。
それが嬉しくて嬉しくて…
あゆみは眠れるまでシンを見つめていた。
--------------------
その夜。
眠るあゆみを見つめるシン。
シン(幸せそうな顔して寝やがって。)
「シンさん…」
シン(こいつは夢の中でも俺の事を考えているのか?)
バカだな…
そう思いつつも沸き上がる“愛しい”という感情。
シンがあゆみに触れようと手を伸ばしたその時…
「シンさん…大好き…」
シン『!』
思ってもみないあゆみの寝言にシンは頬を赤らめた。
シン『こんなガキの寝言で喜ぶとは…俺も重症だな』
そんな自虐めいた言葉を吐きながらも、フッと笑みがこぼれる。
シン『俺もだ…』
そう呟いてあゆみの額にキスを落とし、髪を撫でるシン。
その表情は誰も見た事がない程優しい笑顔だった。
■End■
→あとがき