恋に落ちた海賊王*ナギ
□Happy Birthday
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ナギは部屋に戻ると、バンダナを外しながら溜め息を吐いた。
どうも最近あゆみの様子がおかしい。
ドクターとコソコソ話していたり、今日に至っては二人で買い出しに出掛けて…。
女特有の買い物だからと言っていたが、帰ってきた時の様子を見ると、どうしても別の事を想像してしまう。
ナギ(もしかしてアイツ、ドクターと…)
そんな不安が頭を過ぎるが、必死にその思いを打ち消す。
あゆみの事になると自分でも不思議な程嫉妬したり、すぐに心配になってしまって。
レシピ本を読んでみたりベッドに寝ころんだりと何とか暇潰しをしようと試みるが、結局どれも手に付かないナギ。
いてもたってもいられなくなって、あゆみの様子を見に行く事にした。
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「どうしよう…」
焼き上がったスポンジを手に、涙目になるあゆみ。
ナギの為にケーキを作ろうとスポンジを焼いたのだが、膨らんでいないどころか、ところどころ焦げてしまっていて。
レシピ通りに作ったつもりなのにどうしてだろう、このままじゃナギに渡せない…と落ち込むあゆみ。
すると突然厨房の扉が開いた。
ナギ『あゆみ?』
「ナギ!」
じっとしていられずつい厨房の前まで来てしまったナギ。
ふと焦げた臭いに気付いて、厨房に入ってきた。
ナギ『…失敗したのか?』
「うん…」
シュンとするあゆみに見かねたナギは、バンダナを付け直して言った。
ナギ『俺が教えてやるからそんな落ち込むな。』
「…ありがとう!」
本当は一人で完成させたかったけれど、また失敗してしまったら材料も勿体ない。
あゆみはナギに教えて貰いながらもう一度スポンジを焼き上げる。
すると今度は綺麗なスポンジが出来上がった。
「ナギすごい!ありがとう!」
ナギ『フッ…良かったな。』
「あとは自分でやってもいいかな…?」
ナギ『…じゃあ食堂で待ってるから終わったら教えてくれ。』
ナギが厨房から出て行くと、すぐにデコレーションを始める。
生クリームに苺、ハッピーバースデーナギと書いたチョコプレート。
何やら嬉しそうにデコレーションするあゆみを見つめて、ナギは溜め息を吐いた。
ナギ(誰の為のケーキなんだ?)
自分の為だとは思いもしないナギは、より一層不安を募らせるのだった。
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