恋に落ちた海賊王*トワ
□Teddy Bear
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「眠れないなぁ…」
今日はトワの不寝番の日。
さっきから眠ろうとしているあゆみだが、なかなか寝付けないでいた。
きっとトワがいないせいだろう。
トワがいないだけでこんなに心細くなるなんて。
いっそ会いに行こうかとも考えたが、トワに余計な心配をかけたくなくて躊躇した。
(早く寝なきゃ…)
溜め息を吐いて眠ろうと目を瞑るが、やはり眠れない。
寂しくなったあゆみは、ベッドの左側の空いたスペースを撫でる。
それはいつものトワの場所…。
「トワくん…」
トワの名前を呟くとさらに寂しさが込み上げて。
気分転換を求めて起き上がると、ある物が目に入る。
それはこちらを向いて座る、大きなテディベアだった。
トワが以前、あゆみにプレゼントしてくれた物だ。
(…そうだ!)
あゆみはテディベアの前まで移動すると、そっと抱き上げベッドへ戻った。
「トワくんの代わりに一緒に寝てくれる?」
テディベアにポツリと話しかけて、ぎゅっと抱きしめて目を瞑る。
すると不思議な物で、段々と眠気がやってきて…あゆみは深い眠りについた。
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朝陽が顔を出した頃。
不寝番を終えたトワは、静かに部屋に戻った。
トワ(あゆみさんはまだ寝てるかな…?)
羽織っていた上着を脱ぎながらベッドを覗くと、テディベアにしっかりと抱きついて眠るあゆみの姿があった。
その姿が可愛くて愛しくて、何だか笑みがこぼれる。
トワ(僕も混ざりたいかも…)
無性にそんな衝動に駆られたトワは、あゆみが起きるまで、自分も少し横になろうとベッドに入ろうとするが…
トワ(は、入れない!)
トワのいつもの場所を陣取るテディベア。
彼(?)のサイズが大きすぎて、トワが入るスペースなんて存在しなかったのだ。
トワ(僕だってこんなに抱きつかれて眠った事ないのに!ズルイぞ!)
テディベアに嫉妬してしまうトワもやはり男。
今はまだ恥ずかしくて出来ないけれど。
いつかあゆみを抱きしめて眠る事が当たり前になる日が来る様に…と願うのだった。
そしてあゆみの可愛い寝顔を見つめながら、今度はもう少し小さめのテディベアをプレゼントしようと心に決めるトワであった…★
■End■
→あとがき