恋に落ちた海賊王*ソウシ

□夢の中でも…
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『…う……』



真夜中。

どこからか苦しそうな声が聞こえてあゆみは目を覚ました。


(…?)


体を起こしソウシを見ると、怖い夢でも見ているのか、冷や汗をかきながら苦しげな表情を浮かべていた。


ソウシ『…嫌だ…』

「ソウシさん…?」


心配になりベッドから降り、ソウシに近付く。


ソウシ『…一人に…しないで…』


ソウシの今にも泣き出しそうな、哀しい表情に胸が締め付けられる。


あゆみは時折見せる、ソウシの哀しげな瞳を思い出していた。



自分の過去を語ってはくれないソウシだが、きっと何か辛い事があったのだとあゆみは気付いていた。


彼の抱えている物は何なのか…
もっとソウシの事を知りたい。
年下で頼りない、いつも甘えてばかりの自分だけど…彼の支えになりたい。

そしていつかその哀しみを取り除けたら…。


そんな思いがグッと溢れてきて、思わずソウシに触れてしまうと、彼が目を覚ました。


ソウシ『ん…あゆみちゃん…?』

「ごめんなさい…起こしちゃいましたよね」


触れていた手を引っ込めると、ソウシに腕を掴まれ…そして手を握られた。


ソウシ『何だか安心するね…』


先程とは違い、いつもの様な穏やかな笑みを浮かべるソウシ。


「ソウシさんうなされてたみたいで…」


もう片方の手でソウシの汗を拭うと、ソウシはくすぐったそうに笑った。


ソウシ『ありがとう、あゆみちゃん…心配させちゃったみたいでごめんね』

「いえ…」


笑ってはいるけれど、どこか寂しげな彼の表情に胸が苦しくなって…何だかこっちが泣いてしまいそうになる。



するとあゆみの不安げな表情に気付いたのか、ソウシは優しく微笑んで言った。


ソウシ『今日はこのまま…手を繋いでいてもいいかな…?』

「…はい」



ソウシはあゆみをベッドに寝かせ、手を繋いだままベッドにもたれかかる様にして床に座り込んだ。


「ソウシさん、それじゃ眠れないですよね…?」

ソウシ『私は大丈夫だから、ね?』


そう言って優しく頭を撫でてくれるソウシの、大きくて暖かい手に安心したのか、徐々にあゆみの瞼が重くなっていく。



(ソウシさんは独りじゃないよ。シリウスのみんなも…私もいるよ…)

そんな思いを繋いだ手に込めて…
あゆみは眠りについた。





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