恋に落ちた海賊王*ナギ
□Happy Birthday
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ソウシ『この本で間違いないかな?』
「これです!ソウシさん、ありがとうございます!」
ある港街。
あゆみはソウシと二人、本屋で買い物をしていた。
もうすぐ恋人になって初めてのナギの誕生日。
以前寄った港の酒場は、酒場にしては珍しく沢山の本が並んでいて。
ナギは酒もまともに呑まず、そこで見つけた料理本に夢中になっていた。
その後その本を求めて本屋へ向かったのだが、結局見つからなくて…
ナギがあんなに物を欲しがるなどそうそうない事だから、探して誕生日プレゼントにしようと決めていたのだ。
それをソウシに相談したところ、今回寄った港に行きつけの本屋があるからと、わざわざ取り寄せをお願いしてくれたのだ。
本を手に、船内へ戻る二人。
ソウシ『あゆみちゃん、良かったね。』
「はい♪ソウシさんのおかげです。本当にありがとうございました!」
そんな話をしていると、厨房からナギが出てきた。
ナギ『あゆみ、戻ったのか?』
「ナ、ナギ!戻ってたんだね!」
ナギ『あぁ、ついさっきな…』
突然ナギに声を掛けられて、咄嗟に本を隠すあゆみ。
「荷物部屋に置いたらすぐ手伝うね!」
ナギ『あぁ…』
そう言って慌てて部屋に戻るあゆみ。
渡すまではナギには内緒にしておきたい。
そのせいか何だかぎこちなくなってしまって…
そんなあゆみの様子にナギは怪訝な顔をしながらも、深くは問いつめなかった。
部屋に戻るとすぐさま本を取り出し、用意しておいた別のプレゼントと共に、ラッピングの袋へ入れる。
万が一本が見つからなかった時の為に、新しいバンダナとエプロンに、それぞれエメラルドグリーンでNの刺繍を施した物を用意しておいたのだ。
「ナギ、喜んでくれるといいな…」
プレゼントをそっとベッドの下へと隠し、あゆみはナギの元へ向かった。
片付けと仕込みの手伝いを終えたところで、あゆみはナギにあるお願いをする。
「ナギ…あのね、少し厨房借りてもいいかな?」
ナギ『…何か食いたいなら俺が作ってやるぞ?』
「えっ…その、どうしても自分で作ってみたい物があって…」
ナギ『…分かった。じゃあ終わったら呼んでくれ。』
「うん!ナギ、ありがとう!」
ナギはモヤモヤした気持ちを抱え、厨房をあとにした。
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