恋に落ちた海賊王*ナギ
□さくら(ナギver)
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※【ALL/さくら】の続きです。
リカーと合同の花見で盛り上がる中、ふいにナギが立ち上がった。
「ナギ、どこか行くの?」
ナギ『ちょっと作りたいモンがある。』
「手伝おうか?」
ナギ『大丈夫だ…お前はここで待ってろ。』
「そっか…わかった、じゃあ待ってるね。」
そんな会話をして、ナギは一人船へ戻っていった。
ナギの帰りを待つ間、あゆみはみんなから少し離れて桜を見つめていた。
(お母さん達元気かな…)
こうして一人で桜を見上げていると、何だか少しだけ寂しさがこみ上げて…
あゆみはヤマトで過ごした日々を思い出していた。
ナギ『どうした?』
いつの間にか戻ってきていたナギが、あゆみの表情の変化に気付き傍にやってきた。
「ナギ!…何か、ヤマトが懐かしくなっちゃって…」
ナギ『…寂しいか?』
「寂しくないって言ったら嘘になるけど…でも…」
あゆみはシリウスメンバーを見る。
陽気なみんなを見れば自然と笑顔がこぼれて。
「こんな風にお花見したの初めてで、すっごく楽しいよ!」
ナギ『そうか…』
ナギは優しい笑顔を見せながらあゆみの頭を撫でた。
船に乗った当初は寂しさと不安から、涙してしまう事もあった。
けれどみんなと過ごし、みんなの優しさに触れるうちに、そんな思いは薄れていって。
今ではシリウスが自分の居場所で、かけがえのない場所。
あゆみにとってシリウスのみんなは仲間であり、家族なのだ。
そして…
何よりも誰よりも、大好きなナギの傍にいる事が幸せで。
ナギ『綺麗だな…』
桜を見上げながらそう呟くナギを盗み見る。
風でひらりと舞う桜の花びらと共に、ナギの茶色い髪もふわりとそよぐ。
(何かナギ…桜似合うかも…)
するとあゆみの視線に気付いたナギが、フッと笑った。
ナギ『花びらが付いてる。』
あゆみの髪に付いた花びらを取り、ほら、と手渡すナギ。
「あ、ありがとう…」
何だか恥ずかしくなって赤くなるあゆみ。
ナギ『…いつかヤマトの桜も見に行こうな。』
ナギはそう言って、みんなに見えない様にそっとあゆみ手を握った。
それに応える様にあゆみもその手を握り返す。
大好きな人と見上げるこの景色は幸せで、暖かい気持ちになって。
いつか本当にそんな日が来たら…と願わずにはいられないあゆみだった。
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