Clap★SS置き場

□さくら
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〜ハヤテver〜



ハヤテ『うめー!!』

「美味しい〜!さすがナギさん!」


今日のおやつは桜尽くし。

桜のソフトクリームに桜のシフォンケーキ、桜餅…と桜にまつわるお菓子が所狭しと並んでいる。


ハヤテ『それ食わねーのか?もーらい!』

「ちょっとハヤテ!」


私の返事も聞かずにハヤテが横取りしたのは、とても気に入って最後に食べようと取っておいたケーキ…。

楽しみにしていた物を一口で食べられ、涙目になる私。


「ハヤテのバカ!せっかく残しておいたのに!」

ハヤテ『はぁ?さっさと食わねーから悪いんだろ!』


悪びれる様子もないその言葉に、怒りが沸いてくる。


「最後に食べたくて残しておいたの!ハヤテなんて嫌いっ!」

ハヤテ『なっ…!そこまで怒らなくてもいいだろ!』


私の言葉にハヤテは一瞬たじろいだものの、謝るどころか不機嫌になって。


ギャーギャー言い合いをしていると、ナギさんがうるせぇ、と食堂へやって来た。

そして私の様子に見かねたナギさんが私の頭をポンとする。


ナギ『また作ってやるから。』

「ナギさん…!(泣)」


それを見ていたハヤテは、さらに不機嫌になる。


ハヤテ『ナギ兄はこいつに甘すぎんだよ!』

ナギ『人のモン横取りするお前が悪い。』

「ハヤテと違ってナギさんは優しいなーっ!」


嫌味の様にそんな事を言うと、ナギさんは苦笑いで厨房へと戻って行った。





ハヤテ『なぁ、まだ怒ってんのかよ…』


食べ物の恨みは恐ろしい、とはよく言った物で…
怒りの収まらない私はあの後もずっとハヤテを無視していた。


ハヤテ『悪かったって!これやるから!』


ハヤテに無理矢理手渡されたのは、少し歪な形をしたピンク色のクッキー。


「これ…?」

ハヤテ『ナギ兄がこれなら俺にも作れるからって教えてくれて…』

「えっ、ハヤテが作ったの!?」

ハヤテ『…わりぃか』


ハヤテは少し赤くなって、プイッと顔を背ける。


ずっと機嫌の悪かった私の為に作ってくれたのだろう。
そう思うとこの歪な形が愛しく感じてしまうから不思議だ。


「…食べていい?」

ハヤテ『おう!』


一枚取って口にすると、ふわっと優しい桜の風味がして、何だか幸せに包まれる。


「おいしい!」

ハヤテ『そりゃあナギ兄直伝だからな!』


ハヤテの誇らしげな表情が何だかおかしくて、先程までの怒りなんて忘れて笑顔になる私。


ハヤテ『あんなに怒るなんてお前も食い意地張ってるよな。』

「ハヤテにだけは言われたくないよ?」


そんな冗談を言いながら、笑い合う二人。


暖かい日だまりの中、ハヤテの作ったクッキーを二人で分け合って食べる。

何だかすごく、幸せな時間だった。





■End■

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