恋に落ちた海賊王*トワ
□トマラナイオモイ
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トワ『はぁ…』
船に着いても僕の気分は晴れないままで。
ついつい溜め息を吐いてしまう。
ソウシ『ふふっ…トワってばさっきから溜め息ばかりだね?』
トワ『…ソウシさん!す、すみません!』
いつの間にか僕の後ろにいたソウシさんが、声を掛けてきた。
ソウシ『…トワ、一緒に休憩しようか?』
きっと落ち込む僕を見かねて誘ってくれたのだろう。
断るのも悪いと思い、ソウシさんに続いて医務室へ向かった。
ソウシさんの淹れてくれたハーブティーを飲みながら一息つく。
トワ『何があったの?』
ソウシさんの笑顔に気が緩んだ僕は、今日の事、そして今の気持ちを吐露した。
するとソウシさんは僕の頭を撫でて優しい笑顔で言った。
ソウシ『トワ…あゆみちゃんに恋をしているんだね。』
トワ『恋…?』
予想外の言葉に、キョトンとする。
僕があゆみさんに恋…?
確かにあゆみさんの事は好きだ。
でもこれは仲間としてじゃないんだろうか?
僕の頭が疑問だらけになっていると、ソウシさんは問いかけてきた。
ソウシ『強くなりたいのは何で?』
トワ『あゆみさんを守りたいから…です。』
ソウシ『でもハヤテがついてれば心配ないよね?』
トワ『でも!僕もあゆみさんに頼りにされたいです!僕の事も見て欲しい…』
そこまで言ってハッとした。
ハヤテさんじゃなく、僕を頼って…僕を見て欲しい。
僕はそんな感情を抱いてたんだって、初めて気付いた。
トワ『一緒にいたいと思うのも、ドキドキするのも…ハヤテさんといる姿を見ると苦しいのも……全部恋…ですか?』
ソウシ『そうだね、そういう気持ちを恋って言うんだと思うよ?』
トワ『恋…』
あぁそうか、僕はあゆみさんを女の子として見ていたんだ。
ドキドキも苦しさも、彼女の為に強くなりたいと思う気持ちも、全て恋なんだ。
…そう自覚した途端、少し気持ちが晴れた気がした。
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トワ『ハヤテさん!稽古して下さい!』
ハヤテ『いいぜ!いつもよりやる気じゃねぇか!』
トワ『はい!僕、強くなりたいんです!』
自分の気持ちに気付いたところで、あゆみさんがハヤテさんの恋人だという事に変わりはない。
それを分かっていて伝える勇気は、僕にはまだない。
自覚する前からすでに失恋していた様なものだけど…
でも僕はもっと強くなって、自分に自信を持てる様になりたい。
いつか、ハヤテさんを越えたいんだ。
そしてそんな日がもし来たら…
その時は、僕の気持ちを伝えてもいいですか?
■End■
→あとがき