恋に落ちた海賊王*トワ
□夢の中でも…
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散々みんなにからかわれたせいか、余計にトワと話せないまま一日が過ぎ、ついに夜になってしまった。
(…トワくんに謝らなきゃ)
自分が意識し過ぎたせいで、きっとトワに嫌な思いをさせてしまった。
恥ずかしい気持ちよりも申し訳ないという気持ちが強くなり、トワに謝ろうとドアを開けて話しかけると…
「トワくん、あの…」
トワ『あゆみさん!ごめんなさい!』
予想外の言葉に何も言えずにいると、トワがシュンとしたまま言葉を続けた。
トワ『僕のせいで嫌な思いをさせてしまって…みなさんにもからかわれてしまって…』
「トワくんは悪くないよ!私が…」
そう、トワは悪くない。
馬鹿みたいに意識し過ぎた自分が悪い…と言葉を続けようとすると、トワは赤くなってボソボソと話し始めた。
トワ『夢にあゆみさんが出てきて…起きたらあゆみさんに…だ、抱きついちゃってるし…』
(トワくん、私の夢見てくれてたんだ…)
トワ『僕すごくドキドキして…あゆみさんに悪いなって思っても上手くしゃべれなくて…』
(私と同じ気持ちでいてくれてたんだ…)
トワ『あんな事されて嫌でしたよね…本当にごめんなさい…』
トワの捨てられた子犬の様な瞳に、あゆみは慌てて否定をする。
「い、嫌じゃないよ!その…私もドキドキしちゃって…上手く話せなくて…ごめんね?」
(い、言っちゃった!)
あゆみの言葉に、驚いた表情を見せながら黙るトワ。
ふと目が合うと、二人して真っ赤になっている状況に何だかおかしくなって。
トワ『あゆみさん…顔真っ赤です…』
「トワくんこそ…」
お互い照れながらも、笑い合った。
またこうしてギクシャクしたり、みんなにからかわれる事だってあるかもしれない。
だけどこうして同じ気持ちでいて、最後には笑い合えたら…。
そしていつか夢の中だけでなく、トワから恋人として“大好き”が聞けたら…
そんな事を思うあゆみだった。
…ピュアな二人の恋は、まだ始まったばかり。
■End■
→あとがき