革命ゲーム
□メリークルシミマス!
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白木たちがいた場所から噴水公園までの距離はそう遠くなく5分程度で着いた。
「きよちゃぁん!!来たよぉぉぉぉおお!」
鎌軌が大声をあげて全力ダッシュだ近寄っていった。
それにつられポツリポツリと走って集まっていく。
そして白木が最後集まり、話が脱線する前に口を開く。
「何かあったのか」
「そうそう!創設者からこれが」
やっぱりという顔つきで全員がピエロを見た。
するとピエロは震えだし、弾かれたように柊の手から離れ地面の上に立った。
『さあさあ!みなさんお揃いでございましょか!』
ピエロから発された声。少し高めで頭に響く嫌な奇妙な声。
「今日は何の用だ」
『そうそう、焦らずに!白木様ぁ!焦りは禁物!余裕は宝物!でございますよ!』
ぐふふと笑うその仕草はぬいぐるみであるピエロにしては可愛らしいだろう。
だがこの場にいるほとんどが嫌らしい笑い方だと思う。
『さてさて、本日はゲームのご招待をしに来ましたのだぞ!』
「ゲーム?」
『せやせや、地獄堂にて開催される地獄堂格闘ゲーム!!』
その名前を聞いた瞬間白木の中に煮え返るような熱い思いが込み上げた。
「地獄堂格闘ゲーム?聞いたことある?」
いや、そんなはずがない。
「さぁ・・・」
今日はイブで龍冴が珍しく休みをくれて理由を聞いたら今日は良い客が来るっていうから今日は主催者は俺がやるっていうから闘う人なんてもう決まってるって。
『ぐふぐふ、月影様も池井出様も知らなくてとうぜんでございやしょう!ですですがぁ!?白木様は知っているようですがぁ!!?』
ピエロの言葉が終わると同時に白木に全員の視線が集まる。
急すぎてなにがなんだか分からない。
何か言わないといけなさそうだ。ゲームはやらないと知るために。
「ああ、知ってる・・・だが、そのゲームをやってしまったら革命ゲームに支障がでるのでは?」
『ノンノン!そんなことありゃあせんですよ!死んでもこれがありますからぁね!』
どこから出したのかは分からないが人数分ちゃんとある中に透明な液体が入った小瓶。
それを一人一人に渡した。
何か言いたいようだが全員がとりあえずは黙っている。
『それそれ!死んでも生き返る魔法の薬!今回はサービスでございますんで!あっと、もうそろそろ時間でございやすね!他は白木様が知ってるでござんしょみまいまい!ではでは!』
「あっ!ちょっ!!!」
白木が捕まえようと手を伸ばしたが間に合わず、ピエロは霧となって消えた。
残るはみんなからの視線を痛々しく受けている白木。
全員に向き直ると説明しろとしか目に書かれていない。
その様子に思わず息を詰まらせる。
やっと息できたのは溜息。
言葉を出そうと必死だ。
「とりあえず、地獄堂ってところまで案内しながら説明するからついてきて」
そういって全員の前を歩く。
「そうそう、その小瓶、大事なやつみたいだから割るなよ」
一言付け足して。
現在11時13分。ここから歩いて30分ほど。
電車などという手もあるが、ゲームの事は公の場で喋りたくないものだ。
歩きながら話す。ゲームの事を。
ルールは簡単。対戦相手を殺すだけ。
優勝者には1億円。主催者に勝てば3億円。
開催時間は夜中の0時。終了時間は優勝者が出たその時点。
恐らく死んで負けでも後で生き返ってもらわないと困るといった意味で小瓶を渡されただろうとのこと。
実際、白木自身にも謎となるのは多い。
本当にやるのかは心配だったが、全員刺激的な物には興味を持つ。
よって全員参加のよう。