革命ゲーム

□メリークルシミマス!
3ページ/9ページ

11時50分。なんとか開始直後の10分前に地獄堂格闘ゲームの開催場所となる地獄堂に着いた。
入り口の警備としていつもは牙狼組の組員が配置されるはずだが、今日は龍冴が主催者を担当しているためか龍忌組の組員が二人ばかりいる。
その組員に今日の参加者だと伝え、裏へと続く道を歩き一つの部屋に案内される。
広さは十分にあり右にロッカー左にシャワー室中心にベンチ。
いわゆる更衣室だが兼参加者の待機室となっている。
その待機室には既に何人かいた。ほとんどが男・・・いや、全員が男だ。

「これからどうするの?」

澤口が心配そうに聞いてきた。

「まず、0時に参加者全員が会場に出される。んで、観客が見ている前でくじを引いて戦う順番を決める」
「どうしてそんなに詳しいかは後で聞くとして・・・一番のくじ引いたら一番最初に殺らなきゃいけないってことでしょ。それまでになるべく充分に動けるようにしておいた方が良いんじゃない」

マフラーをとって上着を近くのロッカーに入れながら柊は言った。
苦笑する白木にその他の全員も各々の準備を始める。

「ここ、準備運動できるここよりもっと広い場所あるの?」

鎌軌の答えにはあえて答えず、待機室にもいる龍忌組の1人の組員を見やる。
それを察したように組員は答える。

「ありますよ。ここのすぐ隣です。ご希望ならば好きなようにお使いください」
「・・・・ふーん、木葉行く?」
「一応、準備運動はした方がいいような・・・」

時間も0時まであと5分。
あまりないので少し悩んでいるようだ。

「みんなはどうする?」
「皆が行くなら行く」
「拓巳は相変わらずだね。私は柊が行くなら行くけど」
「相変わらずなのはどっちなのか・・・私は行くよ。身体動かさないと寒くて無理」
「僕は〜一応体動かしておこうかな・・・初っ端からやられたくないし」
「あたしパス。面倒くさい」

上着を脱いで動きやすい格好になりつつも会議を進める。

「じゃあ〜、僕と菜々と葉月と与一は決定かな。結構行くみたいだけど・・・拓巳と千里はどうする?」
「じゃあ、行こうかな」
「私は〜・・・」
「おいでよ〜」
「柊は?」
「パスだって」
「う〜ん、行っておこうかな」

悩む月影の意見も決まり全員が部屋を移動しようとする。
それまでいないものとされていたような存在の白木を渡部が少し見て口を開く。

「蓮は・・・」
「パス」
「っそ」

素っ気ない返事をする白木をこれもまた素っ気ない返事をして部屋を去っていく。
残ったのは白木と柊の二人のみだ。

「は〜ぁ、どうしてこうなっちまったんだか」

コートも着たままの白木が壁に背を預けへたり込んだ。
ここまで来るのにも精神的にものすごく疲れた。
まだ部屋に柊が残っているというのに弱音を吐かないとキツそうだ。
いや、柊?
柊の方を見るとバッチリ目が合った。ガン見されてた。うん、ガン見。

「あ、え?」

なにがなんだか少し混乱していると、ずんずんと白木の近くに向かってきた。
そして、へたり込んだ白木に目線を合わせるようにしゃがむ。

「おま・・・え、お前が一番最初に動けるようにって・・・なんで行かんの」
「蓮」
「はいっ?」

柊に呼ばれて思わず敬語になる。

「ここの事、なんで知ってるの」
「そんなの聞く必要ある〜?」

だが、すぐに気が付いていつものにへらっと笑う表情になった。

「ここ、すごく危ない場所なんでしょ。出入りしてたとかじゃない?」
「なんや、心配してるん?柊のくせに」

立ち上がってドアにロッカーの前に立つ。
上着を脱いでロッカーの中に入れた。

「話逸らすな。クソが」
「クソなんて酷いわぁ〜・・・」

言葉とは反対に笑い声を漏らす。
冗談のように。

「つーか、本当に体動かしとかなくてい〜の?」
「いいよ。蓮に確認しておきたかっただけだし」
「あははっ、こんな都合よく二人だけ残るとも限らんのに」
「一か八かでしょ。で、どうなの」
「ないよ。ここには来たことはない」
「じゃあ、なんでここの」

そこまで言って柊は言葉を切った。
白木の振り返り際に目が揺らいだ気がした。
しーっと白木は人差し指をたてる。

「今からやるのはゲームだよ?何か賭けなきゃ意味ないじゃん」
「なにそれ」
「だーかーらー、お前が勝ったら教えてやる・・・あ、優勝したらだな」
「嫌だよ」
「お?さては勝てる自信ないんだな」
「煽ったって無駄だよ。・・・ま、いいや。受けてたつ」
「よし、決まり!そういや、もうそろそろ時間だけど・・・呼びにとか」
「参加者はこちらに集まってくださ〜い」

タイミング良く係員らしき人が参加者に呼びに来た。
柊と白木は顔を見合わせて苦笑いすると部屋を出る。
廊下に出ると隣の部屋で準備運動をしていた他の澤口、鎌軌、池井出、渡辺、月影、遠藤と合流する。
全員少し緊張しているのか口が堅く結ばれていた。

「あははっ!なーにそーんなに緊張してるの!なんなら今ここで殺してあげるよ!」
「ばーか、ここでゲーム終わらせてどうするんだよ」

白木の物騒な言葉に答える柊には笑みが浮かんでいて、他の奴等も口元が少し緩む。
白木だけではそんなことにはすることはできないだろう。

「怖いなぁ〜」
「その顔でいう事じゃないよ、与一」
「刺激欲しがってたのは俺達だし、むしろ良いでしょ」
「そうそう。リア充も見飽きたし丁度いいや」
「血気盛ん。それが私達だよ」
「うん、落ち着いて行こう」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ