【長編】真選組と桂小太郎


□一章 墓参りに手錠
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報告書に不可解な点はなかった。
おそらく今回の山崎が行った任務は幕府公認ではなく近藤達が独自で行った秘密裏の偵察だったからだ。
新たに明かされた情報はこれまで幕府が一方的に垂れ流したものとは全く異なる、明らかに連続殺人犯は桂ではない事をしめしていた。

大体、殺人犯と出会ったら生きては帰れないのにどうして長髪だと知っているのか。

どこかで恐ろしい力が動いている。
今までにない計画で攘夷浪士を一掃しようとしている事がこれではっきりとした。

「まあ今回ばかりは桂に御愁傷様でさあ、じゃあやっぱり連続殺人犯はどうせ幕府側の人間な」「コラ総悟!!松っつあんに聞かれてたら消されるぞ!」
「近藤さんの言う通りだ。今回ばかりはてめーらの仕事をただ大人しくこなせ。…ちょっとでも変な行動とってみろ。切腹だコルア」
「「「「はい!!」」」」

桂も所詮は攘夷浪士、見つけたら捕まえなければならない。
拷問、死刑にされても文句は言えない立場だ。
しかしこういうやり方はどうも気に食わない、それはこの場にいる侍全員の表情が物語っている。

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