鬼灯の冷徹
□閻魔との会話
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ここに来るのも、もう何度めになるだろうか。
初めこそ怖かったが、何度も来ればそうでも無くなる。
原因の一つとしてこの男があるだろう。
今、名無しさんの目の前にいるのは、かの有名な地獄の長、閻魔大王だ。
と言ってもまったく怖くない。むしろ可愛いくらいだ。
貴「ここに来るのももう何度目か・・・。相変わらずでかいですね。未だに成長期ですか?」
閻「名無しさんちゃん。来る度にそんな事言ってるけど、何?考えて来てるの?」
彼女はいつもこうだ。
最初の頃はオドオドしていたが、今では考えて来ていると思うほど。
閻「・・・ところで今回はどうしたの?」
貴「本当は分ってるでしょう?早く彼を探しに行きたい。」
彼女の要件はいつも決まってこれだ。
どうやら、人を探しているらしく、何度も転生をしている。
驚くことに、記憶も見た目もまったくそのままで。
変わると言ったら名前と住む地域くらいらしい。
閻「まだ見つからないの?君も懲りないね。もう現世にはいないんじゃない?」
貴「うっさい。別に重い女だって思われても仕方ないと思ってるよ。」
閻「じゃぁ、なn 貴「これ以上は言わない。」 ・・・。」
それもそうだ。
何千年の仲とは言え、言えない事があるだろう。
確か昔、見つけられなかったらどうするのか。聞いた事がある。
まぁ、帰ってきた言葉は予想通り「見つかるまで探す。あきらめることは無い。」っていわれたんだけど。
閻「もし見つけたらどうするの?」
貴「・・・。赦してもらえるなんて思ってない。けど、私は彼に謝りたい。その後は・・・私自身の罪を償うために・・・ココに堕ちようと思う。」
閻「前にも聞いたけど。本当にそれでいいの?君は地獄に堕ちる様な事、何一つしてないんだよ?むしろ天国に行ってもいいとワシは思っているのになぁ。」
貴「それじゃあ私の気が済まないんですよ。ココ以外で生きるなどできません。この心にある罪の意識に気付かないフリをしてのうのうと生きるなど、私はできません。」
彼女の言う罪とは何なのか。
彼女がにここまで言うほど謝りたい”彼”とは誰なのだろう。
閻「名無しさんちゃん。そうまで言って、君は一体誰を探しているの?前に幼なじみって言ってたけど。その子の事どう思っているの?」
次に発せられた言葉に、
全身の血が気引いて行くのを感じた。
貴「丁・・・。私の代わりに生贄となり亡くなった少年です。」
閻魔殿に静寂が訪れた。