鬼灯の冷徹
□なつかしい記憶
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懐かしい夢を見た。私が生贄にされる前の記憶だ。
彼岸花のたくさん咲いている場所で約束を交わした時の記憶。
私たちはかくれんぼをしていた。確か君が私を見つけることができなくて。仕方なく出て行ったんだ。
「まったく。私が出てきたら意味が無いじゃないですか。」
「いやぁごめんごめん。凄いね、一面彼岸花で覆われているよ。どおりで見つけられない訳だ。」
「かくれんぼですから。」
「でも、また丁に会えてよかったよ。」
「大袈裟ですね。まぁ、あのままだと絶対私を見つける事は無いでしょうね。」
「見つけられなかったら、このまま丁が居なくなったらどうしようと思ったらね・・・」
「貴方は馬鹿ですね。」
「え?肯定系?」
「私は貴方が探せる範囲にいつも居ますよ。」
「本当?じゃあ彼岸花に誓って約束しよう!」
「?なんで彼岸花なんですか?」
「それはね、彼岸花の花言葉に”再会”や”また逢う日を楽しみに”って意味があるからだよ。・・・だから。何があっても私は丁を見つけるよ。何があっても絶対に。」
「・・・(クスッ)。ならば私も約束しましょう。・・・私も何があっても貴方を見つけます。」
そう言って二人で笑い合った。
結局私は死んで鬼になった。
君は死に転生をし、そしてすべてを忘れ生き続けるのだろう。
約束は果たせない物になってしまった。
でも、この約束を覚えている限り、また君に出会えると思っている。
そうでしょう?
「名無しさん・・・」
(貴方は迷子になりやすいですから、あまり遠くに行かないでくださいね。)
(私もいつも丁の近くにいるよ?)
(そうでしたね。)
(そういう丁こそ、迷子にならな(貴方と違ってそれはあり得ません。)・・・ソウデスネ。)