うたうねこ

□夏
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中学2年生の時。
とある夏の日の、昼。

「本当ですか!?…分かりました、何時からでしょう?…はい、分かりました…。」

母さんの、驚き、焦ったような声がした。
その時、私は何故か分からないけれど、誰か死んだのかな、と思ったのだ。
遠い親戚や、そんな関係の人が。

「どうしたの?」
「…ひなみ、気を確かに聞いてね?」
「うん?」
何故、そんな事を言うのだろうか。
今時、そんな事を言う人はそんなに居ないだろうに。

「あのね…まりあちゃん、死んじゃったの。」

「…え?」
嘘だ、と思った。
これは夢だと。
そんなはずは無いと。

だって、だって私は、
確かにあの時、
定期演奏会の日に、
まりあを見たのに。

「なんで…?」
「原因は良く分からないみたいだけど…」
上手く動かない頭に、母さんの声がはっきり聞こえてくる。
「……で、ちょっと用事でお通夜は行けないけど、その次の日のお葬式は行けるからね。制服、準備しといてね。」
「わかった…。」
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