精霊の欠片

□私の旅
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ジーナは、突然来た男の対応をしていた。
彼は期待に満ちた目で向かい合ったジーナを見下ろす。


「では、直に会えるのですね」

「ええ」

「博士に選ばれた子供達......一体どんな可能性を秘めているのか」


そろそろ後輩達が降りてくることだろうと思って、肯定を返したのだが......なかなか降りてこないことに内心苛立っていた。

目の前にいる男性はオスのカエンジシでもマネたかのような髪型で、その髪色は赤。青い目に、ピシッとスーツを着こなしており、プラターヌ博士の知り合いだという、フラダリである。

この人は苦手だ。黙っているのも気まずいので、誰かを呼んでこようと体を動かした。
だが、そのタイミングでエレベーターのドアが開く。
ナイスタイミングだ。


「あら?リアさんは?」

「え、先に来ませんでしたか?」


ぞろぞろと降りてきたのは4人の後輩たち。足りない1人の行方を聞けば、先に行ったというような言い方をする。ずっと1階にいたから、来たのなら気がつくと思うのだが。
彼と話していた為に気づかなかったのだろうか。

ジーナは分からないことで悩んでいても仕方ないと、思考を切り替えることにした。フラダリに向き直る。
フラダリさんお待ちかねの彼等を紹介する為だ。


「彼等がその子達です」

「ほう!では君達が博士からポケモン図鑑を......素晴らしい、実に素晴らしいことだよ。選ばれしものだね」


フラダリは四人の子供たちの方へ行くと、何やら話しを始めた。だんだんとその言葉に熱が篭っていく。
だが、彼らに向けた言葉であれば、自分は聞く必要が無い。熱弁する彼の言葉を右から左へと流す。


「いいかね!この世界はもっとよくならないと......」


しばらくそうしていれば、ジーナの方へ目が向けられる。
どうやら話し終わったらしい。

プラターヌ博士によろしくと言ったと思えば、言葉を返す間もなく


「我は求めん!さらなる美しい世界を!」


と言って堂々とした姿勢で去っていってしまった。
話は聞いていなかったが、強い熱意を持っていることは伝わってきた。プラターヌ博士に彼の様な知り合いがいたとは。


「それにしても......フラダリさんの望む美しい世界ってどんな世界かしら?」


ぽつりとジーナが呟くが、4人には聞こえなかったらしい。

そのまま、ジーナに挨拶をして研究所を出ていった。
それを見送ってから、エレベーターの方へ目を向ける。

もう一人は何処へ行ってしまったのだろうか?

博士に確認しようと思い、エレベーターへと向かおうとした。だが、その必要は無かったようだ。

その当人がきょとんとした顔でこちらを見ているのだから。





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