薄桜鬼【神のみぞ知る】

□力を持つもの
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月日が経ち
千里は風間と一緒に同行することが多くなった。

それは、また千里の運命を揺るがす事になった。



千里「え?」

風間「知ってるのか」


千里は目を見開き驚いた。
目の前にいるのは
土方歳三達だったのだから。

土方「千里!おまえ、なんでここに!」

千里「え?土方さん達こそ…」

左之助「俺たちは今、新選組っていう組織なんだよ。聞いたことくらいあんだろ」

千里「新選組…じゃあ…」

総司「千里ちゃん、そいつらと どんな関係なのさ」

風間「貴様らに答えてやる義理はない」

千里は試衛館の皆を懐かしく思ったと同時に、異変に気付いた。

土方が背に庇い隠している
『男装の女の子』

私ではないー誰かー
私の場所だったー



総司「千里ちゃん、こっちに来るんだ!左之さん!そっちお願い!」

総司の声に千里は我に返る。

左之助が不知火を相手し、斉藤は天霧の前に立ち塞がる。

新八と土方の攻撃を受ける風間の隙を見て総司が千里を引き寄せた。


風間「貴様あああああ!!!この死に損ないがああああ!」


千里「!」


目の前の風間の髪は白髪になり金色の瞳に変わった。

千里「風間さん!駄目!」

総司「千里ちゃん、下がって!」

千里「総司!待って!だめ!」

風間「千里に触れるな!ゴミ虫どもがあ!」

土方「てめえの相手はおれだ!」


今までにないほどの風間の怒りを感じた。


風間の本来の鬼の姿ー



「土方さん!」


土方の背後にいた男装の少女が
風間の前に立ち塞がる。


風間「…殺されたいか」

天霧「雪村千鶴。あなたは我々と同族なのですよ」


左之助「何、訳のわかんねえこと言ってやがる!女を口説くなら、もっと ましな台詞を用意して来いよ!」


左之助の槍が不知火と天霧の間をすり抜ける。


不知火「原田〜てめえも、めでてえな。そこの女は、てめえらなんかより よっぽど強えはずだぜ」

パンパンッ!

不知火の銃が火を放った。

千里「左之さん!不知火さん、撃たないで!」

総司「千里ちゃん、とにかく中へ入って」

総司は千里を部屋の中へ入れようとした。

千里「総司、違うの!待って!」

風間は総司に一直線に向かい
蹴りあげた。

総司「がはっ…!」

千里「総司!」

風間「千里は俺の女だ…触れたければ死ぬ気で来い」

ドカッ!

総司「ぐはっ…!」

千里「待って!風間さん!落ち着いて!この人達は知り合いなの!私がお世話になった人達なんだよ!手を引いて!」

鬼の姿になった風間に千里の言葉は届かない。

千里は刀を抜き総司を背に庇った。


風間「何のつもりだ」

千里「話を聞いて!とにかく今は手を引いて風間さん…今日は土方さんや総司達と話をさせて」

風間「…いつだ」

千里「え?」

風間「いつ戻るか聞いている」


風間の髪と瞳の色が戻った。


千里「話をしたら帰る…」


風間「…鬼は約束を守る。わかるな?千里…天霧、不知火、引くぞ」

風間は二人を連れ風のように消えた。


風間達が立ち去り
ボロボロになった屯所を
平隊士達が片付け始めた頃
千里は土方に呼ばれていた。


土方「千里、ちゃんと話せ!」


千里は新選組の屯所の広間に連れられた。

近藤は千里を見ると泣いて喜んだ。


山南「それで涼森君は、なぜ風間達のところに?」


千里は正直にすべてを話した。

自分が人ではなく鬼であること。

時空を超えた存在だということ。

自分の血は天地を揺るがす力を持っていること。

試衛館を出て風間達と生活していること。


土方「じゃあ何か?千里は鬼だってのか?」

平助「…羅刹じゃなく…本物の鬼」

新八「どうりで風間達は強えはずだぜ」

千里「…ごめんなさい隠してて。…鬼の私を捕まえる?」

総司「千里ちゃんを捕まえる」

総司が千里の腕を掴む。

平助「へ?!そ、総司」

斉藤「そうだな、俺も捕まえる」

左之助「俺も賛成だ」

新八「左之まで!な、何、言ってんだ!仲間だろ?」


土方がひとつため息をついた。

土方「…総司達は千里を風間達のところには返さないって言ってんだよ」

総司「千里ちゃん、あいつらは幕府討伐を企んでる。薩長のヤツらと」

千里「…うん」

斉藤「千里、風間のところへ帰りたいのか?」

千里「帰りたいとかじゃなくて」

左之助「なら帰るな。また一緒にやろうぜ、な?」


左之助の大きな手のひらが千里の頭を撫でる。


千里「懐かし…」

左之助「ん?ああ癖みてえなもんだな」

土方「千里、とにかく話を聞かせてくれ。ましてや、俺たちのことを知ってる千里を向こうに返すのも不利になる。わかるか?」

千里は試衛館のみんなの癖やらを知っている。

それを敵の風間達に戻って話されては厄介事だ。


土方は千里を返せないと言っているのだ。
千里にも、それは理解出来た。


近藤「千里、おまえを疑うわけじゃないが…」

千里「…うん、わかってる」


千里は土方に連れられ隣の部屋へ移動した。

千里は土方の目の前で服を脱いだ。


土方「…すまねえな」


土方は一言 千里に言うと
千里のサラシを外した。

土方は息を飲んだ。
美しい少女だった千里は
目の前で生まれたままの姿をし
それはまた、この世の何よりも美しく
土方は恐怖さえ感じた。


そして、千里の美しい身体は
土方により調べられた。

土方「…何もねえな。」

すぐに土方は千里に着物を被せた。

千里「嫌な役だね?土方さん」

土方「ん?ああ、しょうがねえさ。それより悪かったな疑うような真似して」

千里「仕方ないよ新選組からしたら私は敵にいたんだからね」

土方「千里、おかえり」

土方は千里の頭を優しく撫でた。

千里「ただいま?なのかな?」

土方「今は、それでいい」

土方は千里を連れ、みんなの元へ戻った。
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