薄桜鬼【神のみぞ知る】

□力を持つもの
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天霧「着きましたね」

風間は君菊に雪奈を呼ぶよう言い付けた。
あれからすぐに天霧と合流し、八瀬の里へと足を運んでいた。


雪奈「千里!千景くんも九寿くんも、よく来てくれたわね。元気にしてるの?」

千里「見ての通りだよ大丈夫」

雪奈「今日は、どうして八瀬へ?」

風間「千里の力の封印は、どうやれば解放される」

雪奈の顔色は一瞬にして変わっていた。

雪奈「千里の力?まさか!千景くん!」

千里「ああ、違う違う!母様、大丈夫だよ。」

雪奈は千里を引き寄せ風間を睨んだ。

雪奈「千景くん…あなたも千里の血を望むなら私は全力であなたを相手にしなきゃならないわ」

風間「…」

千里「母様!」

天霧「雪奈さん、それは誤解です!
風間はー」

風間は天霧の前に立った。

風間「…千里の血を望むか望まぬか…答えは望むだ。」


風間は千里を自身へ引き寄せた。


雪奈「!」

風間「…俺は これの全てを望む。
髪の毛1本も…血の1滴も…爪の先までも…千里のすべてが欲しいのだからな」

風間は千里の小指を絡め口付けた。


千里「あ…」

風間「千里…」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「…千里、おまえは俺様の嫁にしてやる。有難く思えよ」
「ちーちゃんのおよめ?おいしい?」
「ふははは!どうだろうな…あと10年…10年経てばわかるかもな」
「ちさと、なんさいになる?」
「15だ…15になったら、貴様は俺様の嫁だ」
「ん〜よく、わかんないや!おいしいならいい♡」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

千里の脳裏に一気に溢れ出た。

千里「ちーちゃん!?」

風間「!」

天霧「思い出したのですか?」

千里「風間さんは、あの ちーちゃん!?」

風間「あのだか、何だかわからんが貴様はそう俺を呼んでいたな」

千里は風間とのことを思い出し確信していた。

千里「母様…風間さんは大丈夫だよ。自己中だし、俺様だし、わがままだし、気分屋だし、本当に大変なんだけど…大丈夫…私を裏切ることだけはしない。
鬼は約束を守る…だよね?風間さん」

千姫「千里ちゃん…じゃあ、風間に嫁ぐの?」

千里「それはまだ、わからない」

風間「は?!これ以上、貴様は俺様に何を求める?!」

千里「別に風間さんには何も求めませんよ?無駄だし。」

天霧「千里さん、風間もそろそろ里に戻らねばならない身…」

千里「でも、まだ やらなきゃいけない事があるんでしょ?それまでに決めればいいことなんじゃないの?」

風間「貴様は…!」

天霧「雪奈さん、この通り風間は千里さんに頭が上がらない。よって千里さんをどうこうしようにもー」

雪奈「わかりました。千景くんを信じます。千里の力の解放条件を教えます。こちらへー。」



雪奈は風間を別室に連れて行った。



静寂の中、最初に口を開いたのは雪奈だ。

雪奈「千景くん…千里の力の解放条件は十鬼衆の4人の願いと共にあるの…」

風間は黙って聞いていた。

雪奈「…まず一人目の秦の願いは、心も姿も美しく成長してくれ。二人目の千岳の願いは、誰かを守れるだけの強さを身につけてくれ。三人目の八瀬姫様の願いは賢く知的に育って欲しい。最後の千歳…あなたの先祖の願いは『千里が愛する男に身を捧げてくれ』だったわ…」

風間「…まさか」

雪奈「そうよ、その四つ すべてが千里に身に付いた時に力は解放される…おそらく今の千里は秦、千岳、姫様の願いは身に付いたはずだから…」

風間「なるほど…千里が愛する男を見つけ、身を委ねた時こそ解放される。…か。先祖もなかなかやり手だな」

雪奈「そうね…千里を守るため必死に考えた願いよ。ただ、私達も千里の力がどれほどのものか、どんな力かわからない。」

風間「どんなに千里の血を欲しがっても、千里に愛されなきゃ力は解放されない…か」

雪奈「ただ、千里を無理やり手篭めにし子を産ませることは力の解放とはまた別の話になるわ。だから心配しているのよ…」


風間「ならば誓おう…千里から求められぬなら俺からは千里と契はしないとな…」

雪奈「…鬼の約束…ね」

風間「ああ、鬼は約束は守る。それが誇りだ」


風間と雪奈が部屋から出ると
風間は黙って千里の手を引き
八瀬を出た。


千里「ちょっと!痛いってば!」

風間は千里の声で、やっと気付いた。

風間「…」

千里「私の力の解放条件わかったの?何だったの?」

風間「…わからん」

天霧「…」

千里「え?わからないって…じゃあ何で母様と別室に?」

風間「…千里を頼むと言われただけだ」

風間の言い訳は、これ以上 聞いても無駄だと千里は判断した。


千里「風間さんて私のこと好きなんですか?」

風間「…何を言っている」

千里「え?だから、私のどこが好きなのかなあって。小さい頃の約束にしたって今の私を風間さんは知らないじゃないですか。その頃は私って4〜5歳で風間さんも14とかでしょ?ままごとみたいなもんじゃ…」

風間「…ほぉ…それで」

千里「私も風間さんを知りませんし、風間さんも私を知らないでしょ?だから、嫁とかの前にお互いを知ることから始めませんかね?」

風間「何が言いたい」

千里「ええ、言わなきゃわからないんですか?」

風間「…要するに嫁として千里を見るなとゆうことか」

千里「はい。そうです。まずは風間さんちにいた雪村千里ではなく涼森千里を知ってください!」


千里は風間千景という男を知ることから始めようと思った。

自分の血が他の鬼とは違うことはわかった。

だからこそ千里は自分で選んだ相手に嫁ぎたいと思っていた。
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