薄桜鬼【神のみぞ知る】

□純血と混血
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千姫「千里ちゃん!無事!?…ではなさそうね…風間!何であんたがいるのよ!」


千姫は千里に近寄る風間にくってかかった。

天霧「千姫、落ち着きなさい。」

雪奈「九寿くん、千景くん、久しぶりね」

天霧「雪奈殿、ご無事で何より。あなたがたが風間家を出てから父がずっと心配しておりました。」

雪奈「お別れの挨拶も出来なくてごめんなさいね…」

風間「ふんっ…仕方あるまい…屋敷が手薄な時に襲撃にあったんだ」


風間家が手薄になる『精通の儀』を狙い、はぐれ鬼達は薩摩の女鬼達を誘拐するために風間家を襲撃したのだった。


その時に雪奈と千里は天霧九寿の父親であり、十鬼衆 千岳の子孫の猛に逃がしてもらっていた。


儀式は中止となり、急ぎ屋敷に戻った風間達は襲撃してきた鬼達を一掃した。
しかし、屋敷から逃がした雪奈達のことは行き先もわからずだった。

その後、風間千景と天霧九寿は全国を旅し千里を捜していたのだった。


天霧「見つからないはずですね。雪村の名を捨てていたとは…」


雪奈「雪村の里がああなって、千里が危ないと思ってね…薩摩のみんなはどうなったのかも心配してたのよ」


風間「…雪村は立派だった。人間に屈しない鬼としての誇りを持っていた。それに比べ…」

風間はそこで沈黙した。

天霧「…薩摩では、我々が連絡を受け戻った時には女鬼達は…ほとんど見つからず…父達もまた…人間に…脅され人間に人質を捕えられたまま命を落としました。」


雪村の里が襲撃されたのは人間に力を貸さないと、雪村の頭領が頑なに拒んでいたからだった。

雪村千耶の信念は、ちゃんと伝わっていたのだった。


君菊「ところで、千里様を捜していたというのは…まさか!」

千姫「だめよ!千里ちゃんを嫁にしようってんでしょ、風間!」

風間「…貴様らの許可などいらぬ」

雪奈「でも、千景くんと千姫はお見合いしたのよね?」

風間「それは!…それは、仕方なくだ」

千姫「私だってそうよ!誰がこんな自己中な俺様の嫁になりたいかっての!」

天霧「風間は、ずっと長い間 千里さんを捜していました。諦めて見合いをしろと里の者達に言われ千姫様と見合いをしたのです。」

風間「天霧…余計なことは言うな」

雪奈「じゃあ、風間家の嫁として千里を迎え入れたいってこと?」

風間「ああ、そうだ」

千里「嫌です」

風間「!」

さすがの風間も驚き目を見張った。

風間「貴様…約束を忘れたか」

千里「約束も忘れたし、知らない人のところに嫁ぐなんて嫌です」

千姫「そうよ、そうよ!千里ちゃんは風間には勿体ないわ」

風間「…ほぉ、ならば俺様より上物の男鬼がいると?」

千姫「いるわよ!初霜家のとこの嫡男は美形だって聞いたわ」

君菊「確かに美形ですね、ですが少々 体が弱いとか…」

千姫「じゃ、じゃあ、汐見家の嫡男はどう?そこそこな容姿だし、剛腕だわ」

天霧「ああ、確かに汐見の嫡男は私と同じくらいに剛腕です」

雪奈「千景くんは美形だし腕っぷしも強い。何より千歳の子孫なら安心だけど?」


風間は雪奈の言葉を聞いて鼻を鳴らした。

千姫「雪奈さん!千里ちゃん!騙されちゃダメよ!この男は純血種の血が欲しいだけなんだから!」

風間「千里…貴様を守れるのも貴様の血を最大限に引き出せるのも、この俺様だけだぞ」

風間は千里の顎を取りにやりと笑った。
だが千里の言葉に耳を疑う。

千里「嫌です。それに私は容姿や腕っぷしで決めたりはしない。自分の命をかけられる相手と結婚する。それまでは誰とも結婚はしない!」

君菊「しない!って…千里様、千里様や千姫様は貴重な純血の女鬼です。しない訳には参りません…」

千里「いつかはする。とは思う…だけど、その相手は自分で決める。」

千姫「千里ちゃんは、真っ直ぐなのね…いいわ。風間…そんなに子が欲しいなら私が産んであげるわ。」

風間「…話にならんな」

千姫「はあ?仕方ないから、あんたで手を打つって言ってんのよ!」

風間「俺が望むのは…ただ一人だ。」

天霧「では、この話はまた…千姫と君菊は八瀬の結界を強固にして千里さんは居場所を教えておいて下さい。」

君菊「…そうね。とりあえず八瀬の里にいたらいいんじゃないかしら?」

千里「母様は八瀬の里が実家なんだし、君菊さんと千姫にお世話になって」

雪奈「え?じゃあ、千里は?どうするつもり?まだ、あなたを狙う鬼や人間はたくさんいるのよ?」

千里「私、風間さん達と一緒に行動してみたい。」

風間「!」


千姫「正気?!」

この場にいた全員…風間までもが驚いていた。


千里「まずは相手を知ることからはじめなきゃね。それに、風間さんや天霧さんと一緒なら他の鬼達も簡単には私に近付けないはずだから」

風間「当たり前だ」

君菊「千里様、本当にいいのですか?」

千里「君菊さん、母を頼みます」

雪奈「…わかったわ。もう15になるんだものね…自分で自分の道を決めなさい千里」

千里「ありがとう母様…」


千里は雪奈を抱きしめ風間に向かい言い放った。


千里「私があなたを好きになるかならないかは別として、あなたが強いとゆうことはわかった。だから、あなたの元で修行したい。一緒に連れて行って」

風間「…いいだろう。そのうち貴様から俺様の嫁にしてくれと泣きついてくるのを待つとしよう…行くぞ天霧」

天霧は丁寧にお辞儀をし
風間は千里を抱きよせると
風のように去って行った。
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