明治東亰恋伽
□もしもあのシーンがこんなだったら…
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鏡花をお茶に誘って入った所が出会い茶屋だったあのシーン。
「ったく、なんて所に僕を連れ込むんだよ!」
「ごめんなさい…。私、本当に知らなくて…」
芽衣は小さくなりながら言った。
「こんなばい菌だらけの部屋にさ」
鏡花はブツブツと文句を言いながら立ち上がった。
「ほら、もう出るよ!」
「えっ!」
鏡花は芽衣の手を掴むと力強く引っ張った。
そして、外へと出る。
「…ったく、こんなところを誰か知り合いにでも見られたら…」
「あ」
芽衣が突然声を出す。
「今度は何?物の怪でも見ーー」
鏡花は言いながら振り返るとそこには、
「あら!鏡花ちゃんじゃないか〜。こーんな所でなにをしていたんだい?うちの子を連れてさぁ?」
音二郎がすぐそこに立っていた。
「なっ!?川上!!」
「いやぁ〜若いっていいねぇ」
音二郎が言いながら去っていく。
「ちょ、川上!どこいくんだよ?!」
鏡花が音二郎の背中に向かって叫ぶ。
「どこって…。紅葉先生に報告に行くのさ。あんたのところの若手売れっ子先生が、女連れて出会い茶屋にいたって」
「な!?おい!ちょっと待て!!」
音二郎は長い髪のウィッグをやって揺らしながら歩いていく。
「ついでに仲良く手を繋いでたって言っとくぜ」
最後だけ普通の喋り方になり、手をひらひらと振った。
「待てよ川上!!」
音二郎の姿が小さくなる。
「違うんだよーーーーーーーっ!!!!」
ーーENDーー
こんなんだったらいいな…と、密かに思っていたり。