長編

□未来のお嫁さんがやって来た!A
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温かい。
意識が浮上すると、真っ先にそう沖田は感じた。

「……?」

腕が若干痺れている。
ゆっくりと瞼を開けた。

そして、目の前の光景に言葉を失う。


そこには、沖田に身を任せてスヤスヤと眠る千鶴の姿があった。



「千鶴ちゃん、千鶴ちゃん」

「…ん…」

沖田が呼びかけると、千鶴の口が小さく開く。

「総司さん…。今日は早いですね…」

「…は?」

眠たげに目を擦りながら、千鶴かむくりと起き上がる。

「君、千鶴ちゃんだよね?どうして僕の布団で一緒に寝てるの?」

沖田は、痺れる腕をさすりながら言う。

「え…?どうしてって総司さん…。いつも通りで…」

そこまで言って、千鶴は辺りを見渡す。
その顔がどんどん曇っていき、やがて沖田の顔を見る。

「どういうことか、説明してくれる?」

沖田はにこやかに言った。

そして、千鶴の説明が始まった。

「未来から来た?」

「はい…たぶん、今からだとおよそ2年後くらいでしょうか…」

沖田の部屋で、向かい合って話をする。
千鶴は、不安げな顔で沖田を見た。

「でもさ、未来から来たにしては、千鶴ちゃんの外見に変化がないんだけど…」

沖田が疑いの目をむけた。

「信じがたいかもしれませんが、どうやら魂だけが入れ違ったみたいで…」

千鶴は困り果てた顔で説明する。

「まぁ、それはいいとして…」

「?はい」

「どうして一緒の布団で寝てたの?しかもさっき、いつも通りって言ってたよね?」

「あ…それは…」

「総司!!千鶴がいねぇんだけど、どこにいるか知らーーー」

シュタンッと勢いよく襖を開けながら平助が現れた。

そして、千鶴と目が合う。

「な、なんで千鶴が総司の部屋にいるんだ?!」

「あの、えっと…」

寝巻き姿の千鶴はどう説明すればいいのかわからなかった。
しかも、外見は変化がなくとも、気持ちは2年後なのである。

「まぁ、落ち着いてよ」

沖田が平助を宥めるように言った。

「って言っても総司…」

平助は相変わらず動揺を隠せない。

「僕のたちにもわからないんだよ。何でこんなことになっているのか」

珍しく沖田が困り顔で言った。
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