創作小説

□制限脳ーリミッターー
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次に謎の少年に会ったのは、その2日後のことだ。
いつも通り、ハクアと話し、帰り道を歩いていた時だった。

ビュン―――。

再び、風を切る音がした。
はっと思い振り返ると、そこにはあの時の少年がいた。
耳についている羽のようなものが、それを証明していた。
「絶縁大みかん、今から俺についてこい」
そういうと、少年は耳についていたものを外した。
その時、電源の落ちる音がした。
その音は掃除機のコードを突然抜いた時に似ていた。
少年がこちらに振り返る。
それは、初めて見た顔ではないような気がした。
「あの、名前は?」
少年は、再び視線を前に戻した。
「俺の名前は、獅子ミカサだ」
聞き覚えのない名前だった。
「いいから、ついてこい。こっちだ」
自分より数十cm高い少年の、慣れない冷たさに戸惑う。
それでも、何か分かる気がした。
みかんは、少年の後ろを追いかけた。


殺風景な道路沿いにある病院が、少年の目指す場所だった。
ギシィ…と嫌な音を立てて、扉が開いた。
中から出てきたのは、膝下くらいまである白衣を纏った男。
少年は男を博士と呼んだ。


暗く、埃っぽい1階とは違い、2階は整頓されていた。
入り口らしき扉を開けると、暖かい空気が出迎えてくれた。
「外は寒いだろうと思ってね、暖房を入れておいたんだ」
部屋はリビングとキッチン、それからトイレと風呂だけ。
リビングには、テレビが1台あり、その前にテーブル、ソファと置かれていた。
「さぁ、座ってくれ。君のことはミカサから聞いている」
みかんはソファに腰掛けた。
「君は、ヘッドリミッターという言葉を知っているか?」
ヘッドリミッター。こないだハクアから聞いた言葉だ。
「…名前だけは」
「そうか、なら話は早い。君にもヘッドリミッターになってもらう」
「はい?」
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