創作小説

□制限脳ーリミッターー
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「何で…」
何で名前を知っているのか。
服装を見ても、顔を見ても、うちの学校の生徒とは思えない。
他学年との関わりなんてないし、同学年にいる生徒の顔は少なくとも覚えているはずだ。
それに、耳に羽…?みたいな物つけてるし。
「あ。俺らのこと、知らないっけ。まぁそうか。とりあえず、博士に報告しとくわ」
そう言うと、私に背中を向けた。
どこかへいく様子だ。
こっちは、聞きたいことが山程あるのに。
「あ、ちょ、ちょっと待って!何で私の名前知ってるの?博士って誰!?」
そいつは、私のことをチラッと見ただけで、すぐに走り去ってしまった。


――何だったのだろう。

「ただいまー」
「あ、お帰りみかん。今日の夜ご飯何だと思う?」
「えーっと…何?」
「正解は…レトルトカレーです!」
「はぁ…」
「さぁさぁ、早くお風呂入って来ちゃいなさい!」
「はい…」
母はいつもこんな感じだ。
いつまでも幼いというか、そんなところが可愛いと思う。
母は、何か知っていないだろうか。
「ねぇ、お母さん」
「ん、何?」
「耳に変な羽ついてる男の子知ってる?」
「えー、何それ?」
「何か、その人がさ、私の名前知っててね、博士に報告するとか言ってたんだけど…」
「何か、よく分かんないね。
きっと、あなたの学年の子の友達とかじゃない?」
「そうかなぁ。あ、お風呂入ってくる」
「早くしないと、カレー冷めちゃうよー」



「博士ー」
「ミカサか。何かあったのか?」
「博士が探してた女の子、居たよ」
「…まさか、ナノの?」
「そうだと思うよ。見た目は随分変わってたけど」
ミカサと呼ばれた少年は、一枚の写真を取り出した。
その写真には、サラサラの銀色の髪に、右目、左目がそれぞれ青色、緑色の少女が写っていた。
「そうか…すぐに連れてきてくれ」
「分かった」
そう言うと、ミカサは駆け出していった。
博士と呼ばれた男は、口元に笑みを浮かべた。
「…成功だ」
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