□詩
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『beyond saving』

遠くへ行くのですね
私の知らない遠い場所へ

ふたりで たくさんの想い出を作りましたね
初めてのデートを憶えていますか?
凍えてしまいそうな真冬の日
ふたりは誰もいない海へ…

あなたは云いました
「今日この海で、ふたり死んでゆくのも悪くないな」
嬉しくて 嬉しくて 想わず涙した私を
あなたは強く抱きしめてくれました

ふたりで生きて
ふたりで死ぬ
それは大それた 願い でした

「行ってらっしゃい。そして、さよなら」
私は精一杯の笑顔で
あなたを送り出しました
その背が見えなくなるまで見送った後
ひとり 部屋に戻りました

いいことばかりではなかった けれど
想い出は きらきらとまばゆく
涙は止まることを知りませんでした

「今日この部屋で、ひとり死んでゆくのも悪くない」
そんなことを呟きながら
暮れ行く外をぼんやりと見ていました

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