桜先輩に
□なにも言えなかった
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生徒会室が妙にうるさかった。
たまたま通りかかっただけだけど、なんだか気になって立ち止まってしまった。
………賑やかだな、楽しそう。
「煩かったかしら」
「………え?」
後ろを振り返ると、確か、生徒会の先輩がいた。
緑の頭、ショートカット、眼鏡、大人しそう。
「……そ、そんなことは」
「………そう?でも一応言っておくわね、外まで聞こえてるし」
「…………あ、はい」
「じゃあね」
そう言うと、先輩は生徒会室に入っていった。
「………………」
俺はしばらく、突っ立ったままだった。
なんだか妙に息苦しくて、声を出したいのに喉が締め付けられて出せなかった。
なんだよ、これ。
さよならぐらい言えよ、チキンか俺は。