井浦くんと

□基子ちゃん2
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「基子ちゃんモテるでしょ」

「……いえ、全然」

「え?!かわいいから絶対モテてそうなのに!
あ、基子ちゃんのがっこの制服かわいいね」

「…どうも」

「んふふ、照れてる?緊張してる?」

「……おい、高遠いい加減にしろ」


「え?」



後ろを振り向くと、堀さんみたいな般若っぽいのがいた。


「……………ごめんって」

案の定、俺が基子ちゃんに言い寄って質問攻めしてるから怒ってんだろう。


「あの、」

「ん!なーに?」


基子ちゃんの声に勢いよく反応して笑顔で振り返る。


「……いや、その。彼女とか、いないんですか?」



「「!!」」


基子ちゃんの言ったことに思わず俺と井浦は驚きが隠せない。


……反面、俺はとてつもなくにやけていたことだろう。



「え?!なになに基子ちゃん俺に興味もった?好きになっちゃった??」


「………いや、その。彼女さんいるなら、そういうこと言うのはお世辞でもダメですよ、」

「残念だけど彼女は募集中なんで。いないから大丈夫です。へへ」


「………高遠きめぇ」


俺は笑顔で言っただけなのにこんちくしょう。


「きもくない。基子ちゃんはキモいと思ってない」


「……正直に言っていんだぞ基子」

「え?!いや、全然かっこいいでしょ。お兄ちゃんより」

「やった!」


「あくまで顔だけだろ。基子はやらん」

「そこをなんとかお兄さん」


「高遠やめろ。気色悪ぃわ」


「えー…」


折角頭下げたのにつれない兄貴だなー。

あ、そういえば今何時だ?


時計を確認してみれば、さっき喧嘩してたせいか、腕時計壊れてた。

なんだと畜生コノヤロウ。


仕方なく携帯を開くと、もう7時頃で。



「あー…、今日はそろそろ帰るわ」

「え?なんか予定あった?」

「いやいや、家族に悪いだろ」

「んなことねぇよ?なぁ基子」

「ん?まぁ、別に。高遠さん面白いし」

「え?!好きんなってくれた?」

「………高遠」


「…………ごめんて。じゃあ、また明日な、井浦」

「………あぁ、またなー」


そう挨拶を交わして、俺は井浦家を後にした。


基子ちゃん

(高遠さん沢山ケガしてたね、大丈夫かな)
(あ、手当てするために持って帰ってきたのに!)
(……お兄ちゃん、高遠さんはものじゃないよ)

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