井浦くんと
□女と女と、井浦
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ホームルームが終わった途端、女子が群がってきた。
目を合わせないように俯く。
「高遠くんって何処の高校だったの?」
「高遠くんは何で転校してきたの?」
みたいなね、みたいな。
俺男子校だったからさ、女ひさびさなんだわ。
女って嫌いで大義い生き物だとしか思えないから、わざわざ共学じゃないとこ行ったのにさ。
うぜえ、香水くせぇ。
「…きもい、」
「え、酷いよ!井浦が来た途端また暴言を!!」
え?井浦?
顔をあげると、傷ついたっていうより、何か、ほら。抽選に外れたみたいな、そんなショックな顔。
どんだけ自分のこと過小評価してんだろ、コイツ。
「井浦にじゃなくって、女共に」
俺が笑顔で言うと、女子は俺にではなく、井浦に敵意を向けて睨みつけていた。
睨みつけられている井浦は、なにやら悔しげに俺を睨んだ。
…あれ、フォローしたつもりだったのに。
女と女と、井浦
(高遠のせいで女子に嫌われたじゃんか!!)
(え、面倒くなくていーじゃん)
(それは贅沢過ぎだよ!)
(ん?…彼女でもほしーの?)
(そーだよ!!)