リヴァイ兵長は選べない人

□リヴァイ兵長は選べない人 4話
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「すまない、遅くなっちまった」

後ろ手で扉を閉める。
エルヴィンは立ったまま返事もせず、振り向きもしない。
気のせいか、空気が若干張り詰めているような違和感を受けた。
リヴァイが名前を呼ぼうとしたその時、エルヴィンは背を向けたまま口を開いた。

「お前はまるで娼婦だな」

リヴァイの身体が一瞬強張った。
背中にまるで氷水が流れていくような感覚に陥る。
途端、部屋中の空気がピリピリと張り詰めて全身に刺さってきた。
喉元を締め付けられたようで、声が出せないくらい空気が重い…

「ミケには癒して貰ったのか?それとも全員と寝てきたか?」

ゆっくりとエルヴィンが振り返る。
夕日が逆光になっていて表情がよく見えない。
思いがけないエルヴィンの言葉に、リヴァイは何も言えないでいた。

「お前を初めて抱いたのはいつだったか…もう随分昔の気がするが、
私はお前の何人目の男だったんだろうか、なあリヴァイ…?」

執務机を迂回して、扉の前に立ち尽くしているリヴァイの前に、
エルヴィンは足音を立てて、つかつかと歩んできた。
そしてバンッと大きな音を立て、扉を掌で叩き付けた。
リヴァイのすぐ耳元だったので、一瞬身体がビクンとなる。
顔を上げると、エルヴィンはまるで凍ったような表情でリヴァイを見下ろしていた。
ここに向かうまでの間に話そうと思っていた事を全て忘れたかのように、
リヴァイの頭は混乱していた。この状況が飲み込めないでいた。
こんなエルヴィンを見るのは今までで初めてだったからだ。

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