―初恋の相手は人類最強の兵士長でした―

□―初恋の相手は人類最強の兵士長でした―
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あの人の顔が早く見たい…、
椅子に座って両手で頬杖をついて目を閉じた。
脳裏に浮かぶのはリヴァイの事ばかり。
恋の病って言葉を昔聞いたことがある。
これがそうなのか…
自分がどうしたらいいのかわからない。
そんな事を考えながら睡魔に誘われていた。


どのくらい経っただろうか、石造りの階段を降りてくる足音がした。
ハっと顔を机から起こす。
ランプの明かりがこぼれて顔が見える。

「何だエレン、まだ起きていたのか」

リヴァイはそう言うと部屋に入ってきた。
少しアルコールの香りがする。
ランプを机に置いてベッドの端に腰掛ける。

「エレン、水あるか?」
「あっはい」

エレンは慌てて水差しからコップに水を注いで、それを手渡した。

「俺飲んでましたけど大丈夫ですか?」
「構わねえよ」

コップを受け取るとリヴァイはゴクゴクと勢い良く飲み干した。
口の端から僅かに水が滴り落ちていく。
リヴァイはスカーフを緩めて口元を拭った。
その光景だけでもエレンには随分とした刺激になる…

「結構…飲んだんですか?」
「ああ、まあな…嫌でも飲まなきゃいけない時もある」

そう言うと上着のボタンを外し始めた。

「暑い…飲み過ぎたか」

コップをエレンに手渡すと、上着を脱いでベッドの隅に投げ捨て、
首元のスカーフを取り、それも上着の上に投げた。
そのまま後ろに腕枕をしてゴロりと寝そべった。

「ちょっと酔っちまったかな」

エレンはコップを両手で握り締めてリヴァイから目が離せないでいた。
酔っていて開放的に見えるせいなのか分からないが、
いつも以上に意識させられる…
自分のベッドに好きな人が無防備に転がっている。

この状況が耐え切れず、エレンは椅子から勢いよく立ち上がった。
そして気がつくとリヴァイを組み敷いた格好になっていた。

きょとんとした顔でリヴァイはエレンを見つめた。
「どうした?」
「お…俺は男で、兵長も男で、そ…それはちゃんと分かってます」
「エレン?」
「俺は巨人にもなるし、気持ち悪いって思われても仕方ないのも
分かってます。でも俺は兵長の事が好きです…」

そう言うとエレンはリヴァイをゆっくりと抱きしめた。
ドクドクと鼓動は早くなり、触れている部分が熱く感じる。
後先考えずこうしたとはいえ、この温もりも感触も全部愛しい。
しかし、エレンの気持ちとは裏腹に、リヴァイは些か困惑していた。


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