―暗闇の中…一筋の安寧―
□―暗闇の中…一筋の安寧―
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トクン…トクン……
脈打つ二人の心臓の音が重なり合う。
震えが少しずつ治まっていくのを、
リヴァイもエレンも感じ取っていた。
「兵長……」
いっそう深く抱きしめてエレンは言った。
「俺は…俺は死にませんから……」
エレンはゆっくり離れると、
俯いているリヴァイの顔に触れて
…泣きそうな笑顔で彼を見つめた。
「死にませんから…
…だから兵長、もう泣かないで……」
そう囁かれるまで自分が涙を流している事にすら、
リヴァイは気が付かなかった。
ポタッポタッと掌に涙が零れ落ちる。
この涙は何なのか…?
苦しみ…悲しみ…?それとも安堵の涙なのか…?
とっさに手で拭うとエレンがハンカチを宛がって来た。
それを少し乱暴に奪い、自分で涙を拭う。
「兵長…兵長が眠るまで俺ここにいます」
「……」
「俺まだまだガキだけど、少しは頼られたいです」
「…勝手にしろ……」
そういうとシーツに包まり、エレンに背を向けて
リヴァイはベットに横たわった。
その後ろ姿をエレンは優しげな表情で見つめながら、
彼が寝息をたてるまでずっと傍に居た。
「おやすみなさい…リヴァイ兵長……」