―暗闇の中…一筋の安寧―

□―暗闇の中…一筋の安寧―
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調査兵団に入ってから根城にしている古城。
もうすっかりと慣れてしまった少しじめっとした、
湿気を帯びたような地下の自分の部屋。

深夜、ベットの上で膝を抱えたまま、
エレンは先日の壁外遠征での出来事をずっと考えていた。



俺のせいで皆を失った…

リヴァイ班の皆を死なせてしまった…

そしてその敵でもある女型の巨人にむざむさと敗北してしまった……



エレンはどうしてもリヴァイにその事を謝りたかった。
しかし切り出すタイミングもなく、
憲兵団に身柄を拘束されるまで日がない。

兵長はまだ起きているだろうか…?
じっとしていられなくなったエレンは、
立ち上がってランプに火を灯した。

ドアに施錠はされていない。
ギィと音を立ててゆっくりとそれを開けた。

何て兵長に言おうか……
言葉が纏まらないままエレンは石造りの階段を
ゆっくりと昇って行った。

最初は敵意を剥き出しにされた事もあった。
でもこんな自分を信頼してくれた。
賑やかに過ごしていたこの古城にあの人たちはもう居ない……

涙ぐみそうになりながらも、エレンは口唇を噛み締めて
リヴァイの部屋へ向かった。





まただ…


また失った…


俺の大事な部下を…


俺は無力だ…なんて無力なんだ……


暗い…辺り一面真っ暗闇だ。

…暗闇の中、目を凝らしてみる。

ゆっくりと視界を下げると、

足元には自分を囲うように血まみれの四人の屍が……




オルオ…グンタ…エルド…ペトラ……



幾度となく失ってきた部下たち。
これからもまたこの心の痛みに耐えないといけないのか。
膝をついてその場にリヴァイは崩れ落ちた。


息が詰まる……苦しい……



俺は本当に無力だ……






無力だ………
















「……ぃちょう…」
「しっかりして下さい兵長!」
「うっ…あっ……」
「リヴァイ兵長!!」




名前を呼ばれてリヴァイはハッと眼を開けた。
目の前は暗闇ではなく、屍もなく、
そこには心配そうな顔をして自分を見つめるエレンがいた。

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