今日の氷帝学園2

□第28話『幼馴染みの今と過去』
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それは部活終わりのこと。帰ろうとしたら突然雨が降ってきた。携帯の天気予報を確認すると通り雨らしいから雨が止むまで部室でみんなで雨宿りをすることになった。
髪型が崩れちゃうから雨の日ってあまり好きじゃないんだよなぁ。


「あ、そうだ。幼稚園の頃のアルバム持って来たからみんなで見ない?」

「さんせー!」


そんな中、鞄からアルバムを取り出した秋に遥が手を挙げて同意の声を上げる。


「幼稚園のアルバムって卒園アルバムなわけ?」

「うん。組は違うけどちゃんと麻美達も写ってるよ」

「っつーか、なんで幼稚園のアルバムを持って来てんだ…」


不思議そうに宍戸が秋に訊ねると彼女は「友達が見てみたいって言ったから昼休みに見てたの」と答えを返した。


「へぇ。面白そうだね」


俺も同じアルバムが家の押し入れに入ってるはず。だけど、一人で見るのよりもみんなで見る方が少しは楽しいかも知れない。けど、卒園アルバムとはいえ結構分厚くて、秋はよく持ってきたなぁなんて考えてしまった。


「俺も秋先輩達の幼稚園の頃を見てみたいです!」

「ウス」

「じゃあ、決定だね」


後輩達も賛成し、嬉しそうに秋は表紙を開いた。そしてみんながアルバムを覗き込む。
クラスの集合写真や遠足、幼稚園内で遊ぶ様子、プール、色々な写真があった。


「面影はありますね」

「ちっさい頃の秋もカワEーよ〜」


日吉が珍しそうに見ている中、ジローが秋の写ってるいる写真を指を差しながらにへらっと笑う。


「ありがとう。がっくんやジローも可愛いよ?」

「…そうか?」


可愛いと言われて複雑なのか、それともジローに可愛いと言われるのが不満なのか、向日が眉を少し寄せた。


「麻美も可愛いじゃねーか」

「当たり前。アンタよりかは可愛いだろうな」


跡部が褒めてもハッと鼻で笑う麻美。写真の中の麻美も自信に満ち溢れて堂々とした様子である。きっと麻美はこの頃も今と変わりがないのかも知れない。


「遥の笑顔がメッチャ輝いて見えるわ……って、なんややけに滝とのツーショットが目立っとんな」

「幼馴染みだからね」

「ねー!」


そう。俺と遥は幼稚園からの幼馴染み。
遥の手を引っ張って、面倒を見ていくうちに小学校に入った後、遥が好きだって気付いた。それからずっと遥だけ見ていた。俺って結構一途だよね。


思い出すな…1年前。



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