今日の氷帝学園2
□第27話『体育祭という運動会(後)』
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引き続き運動会です。
先程、騎馬戦を終えて、その結果はノワールが勝利となり、今のところノワールが有利に立っていた。
丁度ここで午前の部は終了になったので只今から昼食の時間が始まる。
マネージャーとレギュラー達は中庭で待ち合わせをして、お昼を食べることになっていた。
「あ、麻美ー!こっちだよー」
「ほんとだ、麻美達が来たー」
「……遥ーー!!」
片手にはお弁当。そして空いている片手を構えながら麻美は勢いよく走り出し、遥にラリアットを喰らわせた。
勿論、避けることなんて出来なかった遥は攻撃を食らった喉を押さえて、無事なのか確かめる。
「ちょ、何すんのっ!?」
「今、ルージュが負けてる八つ当たりだ」
「そ、それだけでこの仕打ち…!」
「でも、まだ麻美達が逆転出来るかも知れないよ」
「当たり前だ」
レジャーシートの上に座る秋の隣に麻美は当然のように座った。それを見た遥も自分もと言わんばかりにシートの上に座り、弁当を広げる。
「だが、今は負けてんだろ。麻美、残念だが俺達が勝つぜ」
周りはシートの上に座って弁当を広げるが跡部だけは違った。跡部だけは白いテーブルが用意されており、テーブルの上にはフレンチ料理が並べてある。その後ろには何名かのメイドや執事も立っていた。他の者はツッコミを入れる気にもならないのであえて無視することにする。
「は?もう勝った気でいんの?」
跡部の態度に少し苛立ちを見せる麻美。近くでサンドイッチを頬張る宍戸も自信満々に口を開く。
「じゃあ、賭けるか?俺らが勝ったら麻美は俺らの言うこと聞いてもらうぜ」
「上等だ。私らが勝ったらお前ら全員下僕にするからな」
『全員下僕』その言葉に日吉の箸が止まった。
「俺まで巻き込まないで下さい」
「連帯責任だ」
「じゃあ、遥んとこが負けたら遥を色々出来んねんな?」
「なんでそーなるのっ!?」
「遥、あんな変態の言うことを聞く必要ないよ」
滝がぽんっと遥の肩を叩く。目をキラキラさせる忍足の言葉を聞いてあからさまに嫌そうな顔をするのは遥だけではなかった。
「ねぇ、早く食べなきゃお昼ご飯終わっちゃうよ?」
みんなの箸が動いてないことに気が付いた秋は声を掛ける。だが、何故か秋だけの弁当は見当たらないので、一番に気付いた芥川は首を傾げた。
「秋ー。秋のお弁当持ってないっぽいけど忘れたの?」
「ううん。手塚が持って来てくれるんだって」
「手塚もここ来んのか…」
先程の借り物競争で手塚を連れて行った麻美だったが、その際に他の他校生もいたことを思い出し、『あいつらも一緒に来たらうるさくなりそうだな…』と、思った麻美は軽く溜め息を吐いた。
「ところで秋先輩。障害物で転んだ時の怪我は大丈夫ですか…?」
「あ、そうだぜ!秋、大丈夫か!?」
秋が障害物リレーの時に怪我をした膝を鳳は心配そうに見る。絆創膏が貼られている膝を見た向日も「そういえば」と思い出しご飯粒を飛ばしそうな勢いで秋に膝の具合を訊ねる。
「うん。大丈夫だよ、ありがとう。長太郎も手を貸してくれたしね」
笑顔を見せる秋に心配そうな表情を見せていた鳳の顔が一気に赤くなる。
「い、いえっ、そんな大したことじゃないですからっ」
ぶんぶんと首を振りながら鳳は正座をしながら真っ赤な顔を隠すため下に俯いた。