その後の3Zのその後

□1年Z組九ちゃん先生
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銀魂高校1年Z組。予鈴が鳴り担任の九兵衛が教室に入ってきた。
余談にはなるが彼女が何故この高校の教員をやっているのかというと、“老舗柳生グループの御曹司”として大切に育てられたため俗世間に疎くこのままでは会社経営などままならぬと考えた本人が社会性を身につける修行として教鞭をとっているのだ。ちなみに体育教師なのでいつもジャージ姿である。
「きりーつ。礼。着席」
学級委員を務める五月が号令をかけた。原作で登場した寺子屋に通う神楽の友達である。髪を両サイドに分け耳の下で束ねている、かわいらしいごく普通の女子高生だ。
「よし、みんな教科書閉じろ」
「はい、先生!誰も教科書なんて開いてません」
「…すまん。ちょっと言ってみたかっただけだ」
五月の指摘に九兵衛は少し恥ずかしそうにしながら咳払いをした。
「皆ここへ入学して早1ヶ月。だいぶ学校生活にも慣れてきたと思う。その反面、困り事や悩みが出てくるのも今ごろだろう…微力ながら僕でよければ相談に乗りたいんだが、悩みのあるヤツはいるか?」
生徒一人ひとりに語りかけるように九兵衛はゆっくりと言った。
九兵衛の提案に一人の女子生徒が挙手した。パッツン前髪の山田サチ子である。
「はい。先生!」
「む?山田」
「私、甲子園を目指すお兄ちゃんのサポートをするため野球部のマネージャーになったんですけど、お兄ちゃんの豪速球を取れなくて部員が次々辞めていくので廃部の危機なんです。どうしたらいいですか?」
「うむ。講談社に移籍しろ。もしくは小学館でもいいかもしれん」
九兵衛が言いサチ子が着席するとすぐまた手が上がった。
「はい、先生ェ」
覇気のない声。やる気のなさそうな顔の北大路大五郎である。
「学食のメニューに加えて欲しいものがあります」
「うーん。僕の一任で増やすことはできないだろうが、提案はしてみよう。何だ?」
九兵衛が問うと途端に大五郎の顔がキリッと切り替わった。
「バーボンを置いてくれ。食後のバーボンは俺の癒やしだ」
「ハードボイルドなのはいいが高校生であることは忘れるな」
九兵衛が冷静にいなすと、大五郎は黙って着席した。
「はい!先生」
挙手して別の男子生徒が立ち上がった。精悍な顔立ちになった晴太である。
「教師の中の独身男何人かが明らかに俺の母ちゃんに気があるんで○○○切り落とすか、○○玉つぶしたいです」
「そうか。じゃあその○○○は僕がもらい受けよう」
「いや、どうする気だよ!」
相変わらずくそ生意気な顔つきのよっちゃんがすかさずツッコミ、晴太が着席する。
「はい!せんせ」
次に手を上げたのは美少女、桜島千春だ。
「…桜島」
「昨日家に帰ったら家財道具一式がなくなってました」
千春はにこやかにとんでもないことを暴露した。
「…できれば学校生活に関する相談にしてくれ」
九兵衛が呟くように答えた時、終礼のチャイムがなった。五月が号令をかける。
「きりーつ、礼」
「先生。僕、このクラスで何事もなく学校生活を過ごせるのか不安です…」
西郷てる彦が冷めた表情で言った。
 

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