小説
□突き動かすモノ
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「ハッ…ハァ…ッ!」
傷だらけの身体を動かし、俺は樹海の中を駆け抜けていた…
【突き動かすモノ】
俺は今まで、呪いを掛けられ化け物になった時から人間に憎まれ、疎まれ続けた。
そんな俺に終止符を作ったのはシリウス海賊団。
中でも胴着の男が俺の呪いを解いてくれて…その時、男に死のカウントダウンの呪いが掛かった。
海賊団の船長に俺は呪いの解き方を聞かれたが、何十年も立っているのを覚えているわけもなく…
仲間を傷付けたと、船員達に怒りと殺意の籠った目をされた。
そういや、眼帯の奴には銃向けられたっけな…
それを呪いを掛けた胴着の奴が止めて…
「…?」
俺はそこで考えていた思考を止めた。
「アイツ…何故助けたんだ?」
俺は死の呪いを掛けた張本人だぞ?
お人好しなのか、バカなのか…
分からない男だ…
だが…
「俺が一番バカだな…」
俺は何故か、アイツの呪いを解く手掛かりがある島の泉に向かっている。
逃してもらったんだからそのまま逃げちまえば良いのに…
呪いを解いてもらった礼か?
それとも同情されたプライドか?
「何なんだ…これは…」
呪いを掛けられてから何十年もたってしまった俺には、この感情を忘れちまった。
だが、こうしなければいけないと、またもや忘れた感情が動く。
分からない感情を抱えながら、俺は足を進めた。
end…