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□蒼い瞳の恋
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男達の魔の手から逃げ出した。
光を目指せ、と言った彼女の言葉通りに救いを求めただひたすらに走った。


後ろを振り返ることなくただひたすらに走り続け、ようやく人の喧騒やサイレンの音が耳についた。
警戒しつつそちらに目を向けると、赤や青のライトがちらちらと目に付き走る速度を緩めよく見てみると、どうやらパトカーらしき物が数台止まっていた。
どうやらここでも事件があったらしい。だが、女にはどうでも良かった。それ女にすればそこは事件現場等ではなく神の光に見えたのだから。



『あそこまで行けば。あそこまで走れば私達助かる。助けてもらえるんだ!!!!!!!!!』



後少し、もう少し・・・・・・・・光を





      掴んだ!!!!!!!!!



友人は一番近くにいた男の腕を力強く掴み、神にも祈るように懇願した。
   
    「たっ助けて下さい!!」







男は、事件現場での証拠採取が粗方終わりを迎え、ラボに戻るべく車に向かって歩いていると、わき道よりこちらに向かい走り寄る足音が耳に入り警戒しながらのぞき込んだ瞬間、右腕をぎゅっと掴まれた。

眉間に皺を寄せ相手をやみやると、アジア人らしき少女が目に涙を為、肩を激しく上下させながらに言葉を発した。

     『助けて』

腕を掴まれた男、デイト署CSIチーフであるホレイショ・ケインは助けを求めた少女の背に手を当て相手が落ち着くように声をかけた。

「もう大丈夫だ。安心していい。ここは安全だ。」

そう言い聞かせると、女は緊張感が解かれその場に座り込んだ。
それに合わせるようにホレイショも道路に膝を突き、女から事情を聞くべく声をかける。
「君の名前は?何があった?」
女は、ホレイショの問いにゆっくり吐息を整え答えた。

女の話では、友人2人で日本よりバカンスに来ていた。観光が終わりホテルに帰る途中、突然3人の男が現れ物言えぬ間もなく車で拉致された。この付近で友人機転により車から押し出されここまま走って逃げてきた、と。

「友人と2人?」
「はい。」
そうはっきりと答えているのだが、女は1人だけ。後方よりこちらに向かっているにしては未だに姿が見えない。
「もう1人は?」
ホレイショの問い掛けでようやく自分の後ろに友人がいないことに気づいた女は顔を青ざめきた道を戻ろうと走り出そうとした。
それに気づきホレイショはいち早く腕を掴み落ち着くように諭す。
「離して!!早く助けなきゃ。襲われちゃうよ。殺されちゃう!!あの子死んじゃう。」
「大丈夫、俺がいく。必ず助ける。だから君は署の方で待ってろ。いいね?」
ホレイショの力強い言葉に女は友人をお願い、と涙ながらに懇願した。

「友人の名前は?」


女を付近にいた警官に署に連れて行くよう頼むと、トリップ・デルコを連れ女の来た方へと走り出した。




ホレイショと走りながら2人に、事の概要を話した。
「あの子が車から逃げたし助けを求めるまで10分〜20分だと言っていた。ならば現場はこの当たりだりだろう。車で拉致されたと言っていたが。」
ホレイショがそう告げて付近の道路を三人で見渡すと、争ったであろう痕跡、引きずられそれに抵抗した痕跡等が至る所に見られた。

ホレイショはサングラスを外すと、屈み込み近くに落ちていた物を掴みあげた。
それは女性が髪を留める髪飾り。
「ホレイショ、それは?」
トリップが訪ねると、ホレイショは髪飾りを2人に見やすいように傾ける。そこには、髪飾り似つかわしくない血痕が付着していた。

「早く探し出さなければ。」
トリップは携帯を取り出し署に連絡を入れた。

「チーフ。俺、」デルコが声を出し始めたその瞬間

パン!!!!!!!!!

微かだが、確かに響いた発砲音。

皆、言うが早いか銃を手に音源地に向かい走り出した。
音源地に近づくにつれ緊張が高まる。
パン、また発砲音。次はかなり近い3人は警戒しながら音源地に近づいていく。
近づくと、苛立ちながら怒鳴る男達の声と微かに呻く女の声

『彼女だ』

ホレイショは何も根拠もないが、何故か確信していた。

目的の場所は、建物と建物の間にひっそりと建つ小屋。その横にいかにもと車が止めてある。ホレイショは2人に目配せし、中に突入した。

「デイト群警察だ!!」

予想外の突入に男達は散り散りに逃げたし、トリップ・デルコは男達を追いかけホレイショは女に近づき声をかける。
「お、」
ホレイショが声を出しながら肩に手をかけると、女はその手を払い必死に逃げ出した。
「やだ。触らないで、もうやめて」
その声は小さがホレイショの耳にははっきりと聞こえた。
よく見れば、衣服は役目を果たす事が出来ないくらいにボロボロにされ、見えている肌には目も当てられぬ程の暴行の後その場にいなくても何が行われたかわかる現状にホレイショは目をきつくした。
同じ男として許し難い。今すぐに追いかけ、彼女に与えられた以上の苦しみを与えてやりたい。だがそれよりも先に彼女だ。

ホレイショは己の着ていたジャケットを脱ぎそっと肩からかけてやりそのまま正面から抱きしめた。
突然の包容に女は力の限り暴れ叫んだ。
「やめて!!いやだ、離してぇ!!!!!!!!!」
泣き叫ぶ女にホレイショは優しく背を撫でながら声をかける。
「もう大丈夫だ。君は助かったんだ。もう大丈夫、大丈夫だ。」
何回も、何回もホレイショは女が落ちたつけるよう語り続けた。

どのくらいそうしていたのか、気づけば近くにはカリーやアレックスの姿が見えパトカーに乗せられている男達、その男達を押し込んでいるトリップ達が見えた。トリップに目を向けると、それに気づいたトリップが親指を立て合図する。どうやら犯人は皆捕まえたようだった。

ホレイショは腕の中で幾分落ち着きを見せた彼女に視線を合わせ力強く話しかけた。

「君に暴行を働いた奴らは捕まった。君の友人のミカも無事に保護したよ。」

友人の名が耳に入ったのか、目に生気が宿りよう漸くホレイショの瞳と焦点があった。

「ミカ、助かった?怪我、して、な、い?なんにもされ、てない?」
幼子のような問いかけにもホレイショは優しい眼差しを向けうなずいて見せた。
「ああ。傷一つなく。今デイト署で君を待ってくれているよ。」
そう微笑めば、今まで出ていなかったのが不思議だった涙が堰を切ったように溢れ出した。
「良かった。ミカ無事なんだ。良かった逃げ切れたんだ。良かった、良かったぁ・・・・神様ありがとう。ミカを助けてくれてありがとう」
その言葉を最後に彼女はゆっくりと瞼を閉じた。
ホレイショが慌ててアレックスを呼び急ぎ処置を頼んだ。

「大丈夫、気を失っただけみたい。それにしても、これは、酷い。かなり抵抗したみたい。」
傷の一つ一つを丁寧に処置するアレックスの顔は悲痛な表情が浮かべた。隣で見ているカリーも同様の顔をして傷ついている少女を見つめた。

「アレックス。」
ホレイショの呼びかけにアレックスは目だけを向け、言わんとしてることを察し無言で頷いた。


『暴行』

それは、目に見えて確実だ。
加害者は、男。しかも複数。話に聞いていた人数より2人程多い。きっと常習犯だろう。ならば、暴行はレイプにまで及んでいるのだろうと現場を、彼女を見れば明らかだ。

突然拉致され、暴行し犯され、抵抗した為にさらなる暴行・・・・・・・・。

同じ男として、警官として、人間として許し難い事件は1人の勇気ある女性の犠牲の元幕を閉じようとしていた。






















〜あとがき〜
・・・・う〜ん、ホレイショだせた〜。けど、なんかくらい話でごめんなさい!!!!!!!!!
ちゃんとホレイショとくっつくよう頑張りますので、生暖かい目で見て下さい。
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