キュンしましょ!

□骨折したその初日
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「よし、ご飯作るね」
エモルがとても可愛い笑顔でそう言ったのだが、ドランプは慌てて阻止した。というのも、エモルの作る料理は・・・その・・・アレなのだ。
食べると・・・そう、食べる人の命がアレなのだ。
肉体的にも、何故か精神的にもくるような・・・感じだ。
「ちょ、ちょっと待てエモル。俺もできるだけ手伝うからちょっと待て」
「え?いいよ、そんな。ゆっくり休んでなよ」
「いや、何というか・・・俺がそうしたいんだけど。それに、エモルが料理している姿が見たいしさ」
「そう?んじゃ、お願いしよっかな」
(セーフ!!)
命の危機は免れた、とドランプは心の中で腕を真横に真っ直ぐ伸ばした。

エモルがネットでレシピを探す。
「ねえ、何作る?」
「(レシピは見るんだな)んー・・・ジャパン的な奴がいい」
「例えば?」
「そうだな・・・あ、なんか誰かが言ってたんだが、BBQの味がする野菜があるらしいな」
「・・・焼き肉のタレを使った野菜炒めのことかな?」
「あーうん、そんな感じ。あれ食ってみたい(ソースかけて炒めれば終了らしいから、失敗はしないだろう)」
了解、とエモルはニコッと笑って早速準備にかかった。
キャベツ、ニンジン、ピーマン、玉ねぎを食べやすいサイズで切っていく。ドランプはその間、フライパンを取り出して油を注いだ。
切られた具材はフライパンに入れられ、丁度いい色になるまで炒められる。
(ここまで普通に作っているな・・・あとはソース入れて完成だが、そこからが問題なのか?)
だが、最後にBBQソース入れても別に怪しい点はなかった。
「?」
ドランプは首を傾げた。
あとはテーブルの準備をして・・・いざ、試食である。
(最後まで普通だったな・・・自分で改善したのか?)
不思議で仕方がない。どうしたらこんな普通の奴を・・・あんな味にさせるのだろうか。
「えへへ」
「?どうした?」
「僕さ、今までガニエの使用人さんに作ってもらってたから、自分で作った料理を食べるの初めてなんだ」
「そうなのか(だから自分の料理の味を知らないのか・・・)」
「じゃあ、食べようか」
「お、おう」
緊張の面持ちで、ドランプは一口食べた。エモルもパクリと口に含む。
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