企画物BOOK

□ヤドリギ
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 情事後特有の淫靡な香りが漂う中、マホは拗ねた様に唇を尖らしていた。

「何面白ぇ面してやがる。」

枕に埋めた顏をマホの方に向けて、からかう様にリヴァイが言うと、マホはまるでエサを頬袋いっぱいに詰め込んだ栗鼠の様にぶぅぅと頬を膨らませた。

「兵長が意地悪だからですよ!無理って言ってるのに何回も何回も……」
「てめぇが人をジジィ呼ばわりして煽ってきたのが悪ぃんだろうが」
「ジジィなんて言ってません!!」

バンバンとシーツを叩くマホに「おい馬鹿騒ぐな。ガキかてめぇは」と言いながら、彼女の手を掴むと、グイッと自分の胸に引き寄せた。
 生まれたままの姿での密着はこの上ない安心感を連れて来て、それと同時に疲れが一気に込み上げて全身がどんよりと重くなった。
 眉間に皺を寄せて欠伸をするリヴァイに、マホは彼の胸の中で、ほら、と言いたげにトンとリヴァイの胸板を叩いた。

「やっぱり疲れてるんじゃないですか!」
「何言ってる。俺は最初から疲れてるとは言ってただろ。」
「だからそれなら早く休んだ方が良いって私は……」
「おい、堂々巡りになる様な会話を振ってくるな。面倒くせぇ。」
「むぅ……。と、とにかくもう休んで下さいね!私も部屋に――ッグハッ!?」

そう言いながら、リヴァイの腕から逃れ様とすれば、逆に強い力で抱きしめられ、おおよそ可愛いとは言い難い呻き声がマホの口から漏れた。
 
「同じ事を言わせるな。お前といる時が一番癒されるんだよ、俺は」
「え……えと、泊まれと?兵長のお部屋に?」
「問題があるか。」
「あるでしょう!?朝帰りとかしたら変に噂が立つし、兵長の部屋から出るのだって誰かに見られるかもしれないし……」
「その時は、アッサリと認めてやれば良いじゃねぇか。」
「そ、そんな……」

不機嫌そうにリヴァイは眉を顰めると、吐き捨てる様にこう言った。

「いい加減“ホモ疑惑”をかけられるのもウンザリしてきたからな。」
「…………知ってたんですか。」

やっぱり、今日の兵長はいつもよりも何処か可愛らしい……と心の中で呟きながら、マホはウフフ、と肩を震わせて笑った。

「笑ってんじゃねぇよ。大体てめぇ、自分の恋人がホモだと噂されて嫌じゃねぇのかよ……」
「ん〜……。噂は噂ですし。それに……」

そこで一度言葉を止めると、マホは少しだけ顏を上げてリヴァイを見つめた。

「女好きって噂が流れるよりは全然良いです。」

一瞬、ポカンとした顔をして、リヴァイは呆れた様に溜息を吐いた。

「馬鹿な事言ってねぇで寝るぞ」

少しだけ、リヴァイの顏が赤らんでいる気がして、マホは心の中でペロリと舌を出した。

例えば私達の関係が公になったとしても、きっと、今の私は何も恐れない。

だって
こんなにも
愛されてる――…。

―END―

↓↓お礼文&後書き↓↓
リクエストして下さったチー様、読んで下さった読者様、有難うございます。
『普段はお互い遠慮がちに接し合ってるけど、疲れが溜まってて癒されたいなーと珍しくべったりヒロインに甘える兵長』という事で、こんな感じにさせていただきました汗)
チー様から当サイトの兵長は『なんだかんだでヒロイン思いで、原作通りに格好良く、でもどこかかわいい』と嬉しい評価をいただいて、張り切って夢主に癒される可愛い兵長を書いていたら、意地悪分が不足してきたために、何だか行為中はドS兵長になってしまいましたが……汗)すみません。いつも裏モードになると兵長のSっぷりに拍車がかかってしまうんですね汗)今回の夢主と兵長の会話シーンは割とほのぼのしてて自分で気に入っております。読者様のお気に召したら光栄です!
改めて、素敵なリクエストをして下さったチー様、ここまで読んで下さった皆様、有難うございます。
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