短編夢BOOK

□dispersion 〜それは予告もなく〜
1ページ/1ページ

お前の両目を覆うのは
夢想へ誘(いざな)う
無言の合図

今宵も俺は俺で無い
お前の望む者となり
甘い時間を与えよう

撫で掠めれば締め付ける
一際高く啼く声に
締め付けられるこの胸も
震わせ染まる姿を見れば
緩み熱が頭をもたげ
ゆるりと交わり混ざり合う
長く短いその時に
打ち付け胸が痛んでも
求めてやまぬ背徳に
想いを込めて解き放つ

それは脆く儚い夢想
お前が呼んだ俺の名は
終わりを告げる音となり
俺の理性を引き裂いた

叶わぬ恋の結末を
先に垣間見た代償か
お前のためと言い聞かせ
抱ける理由を失った

身を引く事が最善か
伝え続けた真実に
お前は何を思うのだろう……
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ