20万打企画用
□知らぬが仏
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「ふんふーん」
「何点だった?」
「98」
「…マジ?」
「大マジ!」
「チッ、どんなズルしたんでィ」
「してねーよ。真面目に勉強した結果ですぅ」
「オメーが真面目にとかキモッ」
「真顔で言わないでくれる?さすがに傷つくわ」
「キモッキモッキモッキモッ」
「連続で言わないでくれる?さすがにイラつくわ」
今日は数学のテスト返しの日。
頭が良くも悪くも、いやどちらかと言えば良くはないが赤点ギリギリレベルの2人は、毎回点数を競い合っていた。土方にしてみればどんぐりの背比べなのだが、本人たちはお菓子の奢りがかかっているので至って真剣だった。
「今回もあたしの勝ちかな?沖田くん」
「今回も、って前回は俺が勝ったぜぃ?名字さん」
「何奢って貰おうかな〜。やっぱ期間限定のハーゲンダッシュかなあ。でも学生には高いモフでもいいなあ。モフに行くならマイスプーン持って行かないと。あの美味しいソースが袋に残って勿体ないんだよね」
98点なんぞ滅多に取れない名前はそれだけでも上機嫌だったが、沖田の点を遥かに上回ったと有頂天だ。沖田は自分の回答用紙と名前の表情を交互に見て、にやり。
「…何その悪どい顔」
「いやいや、別に?」
「…そーいやアンタ何点なのよ」
相手の点数を聞いてから有頂天になれよと隣の席の新八は突っ込みたかったが、突っ込んだが最後、クラス1の気紛れコンビの餌食になるのは分かっていたので、眼鏡を光らせただけに止めた。
「俺の点数?知りたい?」
「…知りたい」
「仕方ねぇなァ、ほら」
ぺらりと表にされたテスト用紙。名前の隣に赤く書かれた数字は…
「きゅうじゅう…はち…だと!?」
「イエース、98」
「ガッテム!!」
「何奢って貰おうかな〜」
「いやいや悔しいけど同点だから!」
キイッと沖田を睨む名前は悔しそうに唇を噛み締めた。
「次は明日の国語のテストで勝負だ!」
「万札用意しとけよ」
「総悟こそね!」
メラメラと闘志を燃やす2人に、教師から「そろそろ始めるぞ」と声がとんだ。一番後ろにふんぞり返って座っていた高杉からしてみれば、このテストは足し算引き算の小学生向けのテストで、教師が頭の体操だとやらせた遊びだった。よって100点満点を取らない方がどうかしてて、クラスではほとんどの生徒が100点だったろう。ちなみに高杉もそのほとんどの生徒に入る。
「あー、眠ィ」
まあそんなことを指摘する性格でもキャラでもないので、あーだこうだと騒ぐ馬鹿2人を視界から消し、夢の中へ潜った。