審神者

□にゃんにゃんにゃん
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「今日は2月22日で、猫の日なんだって」
「猫の日?なんで?」
「にゃんにゃんにゃん、って語呂合わせからきてるみたい」
「ぶっ」
「おい、笑うなよ」
「笑ってないよ」
「じゃあ何で吹き出したのさ」
「いや、なまえ可愛いなーと思って」
「は?」


俺の主は、それはそれは見目の美しい女だ。濡れたような黒色の瞳も、指通りの良い蜂蜜色の髪も、色香のある体型も、もう文句なしの女なんだけど、それらを相殺(っていうのは言い過ぎかな)してしまうのが、彼女の性格。


「清光、何か変なもの食べた?あ、今食べたお団子賞味期限切れだったのが拙かったかな」
「なんてもの食わしてんの!?」
「だってもったいないじゃん」
「そりゃそうだけど!でも本人前にして言わないでよ」
「大丈夫、私も食べたから」
「何が大丈夫なの!?」


あっはっは!と大きな口で笑う主に、黙っていれば美人なのにと何度思ったか。でも主の笑いにつられて、俺も笑ってしまった。




「貴方が、加州清光?」
「そうだよ。可愛くしてるから大事にしてね、主」


俺の言葉に主はきょとんとした。けれどすぐにニヤリと笑って返された言葉は、今でも昨日のことのように思い出せる。


「可愛くなくても離さないから覚悟しててね、加州」




俺の主は、それはそれは見目の美しい女だ。濡れたような黒色の瞳も、指通りの良い蜂蜜色の髪も、色香のある体型も、もう文句なしの女なんだけど、それらが霞むくらいの、男前で大らかで、楽しいことが大好きな性格の持ち主だ。


「うちに猫はいないけど、ネコ科はいるから構いに行こうか」
「ネコ科?」
「五虎退」
「の虎でしょ?」
「五虎退も一緒ににゃんにゃんポーズさせて写真撮ろーっと」
「意味がよく分からないけど、五虎退が危ないのだけは分かった」
「危なくないよ。なら清光もにゃんにゃんポーズする?」
「…それって可愛いの?」
「可愛い可愛い。でも普通のじゃ面白くないから、鼻血吹くくらいのポーズをさせるつもりだけどね」


ニヤリと笑ったなまえを見て、五虎退逃げてー!と叫んだ俺は悪くない。




 

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